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プリンス・ライヴ『孤高のファンク詩人』
プリンス・ライヴ
『孤高のファンク詩人』
【2002年11月15日金曜・国際フォーラム、
   11月18日月曜、19日火曜・武道館】


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   中毒。

   このファンクの酔い心地、そのタイトなバンド・サウンド、次に
何が来るかわからない期待感。まさに中毒になるライヴだ。この人
物の黒さかげんといったらない。そして、延々と続くライヴの陶酔
感。プリンス6年ぶりの公演は、彼の80年代のバンド、レヴォル
ーション以来のタイトで、ファンキーなバンド演奏を見せた。特に
元ジェームス・ブラウン・バンド、JBズの主要メンバーだったメ
イシオ・パーカーを従え、彼のファンキーなサックスを存分に取り
入れた点は特筆に値する。

   「メイシオ!」

   プリンスは月曜日16回叫んだ。火曜日は21回叫んだ。そして
そのたびに、たださえファンキーなバンドがファンク度をさらにア
ップさせファンクをさく裂させる。

   武道館の日の丸に向かって突き上げられるこぶし、こぶし、こぶ
し。1万人が左右に動かす腕、腕、腕。「パープル・レイン」で歌
われる1万人の「ウーーウーーウーー」というバックコーラス。

   1万人を同時にファンクの嵐の中に陥れる魔術師プリンス。

   直近の新作『レインボウ・チルドレン』からの、「ワーク」「1
+1+1=3」などは、JBズを現代によみがえらせたような作品
だ。そして、1万人を圧倒させることができるファンク・アーティ
ストなんて今、彼以外にいるのだろうか、と思ってしまった。

   プリンスは叫ぶ。「リアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュ
ージシャン!」。そのとおり。彼のライヴは、この言葉だけですべ
てが言い尽される。打ち込み、ノー!  ギミック、ノー!  既存の
レコード会社やメディアに徹底的に背を向け、一人孤独な歩みを続
けるプリンスは孤高のファンク詩人だ。

11月15日国際フォーラム、18日、19日武道館。
(吉岡正晴・音楽評論家)

(毎日新聞2002年11月30日付け夕刊・楽庫に掲載。新聞掲
載時のタイトルは、『ファンク詩人に中毒』。)
    
MASAHARU YOSHIOKA
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