NO.598
2004/03/31 (Wed)
Clear And Present Funk: Papa Grows Funk Live At Quattro
アクシデント。

CD2枚、『ドゥーイン・イット』(2001年)と『シェーキン』(2003年)がでているニューオーリーンズ出身の5人組ファンクバンド、パパ・グロウズ・ファンクが初来日。渋谷クラブクアトロでライヴを見せた。

5人が登場して最初の音を出した瞬間、すでにそこは渋谷ではなくなっていた。ニューオーリーンズだ。メンバー、それぞれが出す一音一音がいちいちファンクしている。ギターの山岸が弾く音、リーダーでキーボードのジョン・グロスが鍵盤を叩きつけて出す音、弾けるマーク・ペロのベース、炸裂するラッセル・パディステのドラムス、そして吹いて吹いてニューオーリーンズの風を吹かせるジェイソン・ミングロドフのサックス。全員が意識しようがしまいが、体に「ニューオーリーンズ・ファンク」という名のDNAを持っていることが痛いほどわかる。そして、そのニューオーリーンズのファンクは、実に楽しく、気持ちがいい。

彼ら5人の演奏を見ていると、彼らが純粋に音楽に集中し、没頭できる環境で音楽をやっているんだなあと思う。いい意味でみんな音楽馬鹿になっているのだ。ニューオーリーンズ・ファンク独特のセカンドラインのリズム、切れ味するどいサックス、ロングヘアを振り乱し、汗を飛ばし口をあけ、歌いながら鳴り響かせるギター。それぞれが音楽を純粋に愛し、音楽に人生をささげ、ただひたすら自身の楽器とともにこれまで歩んできた音楽人たちのピュアでリアルな音楽がそこに存在している。これも間違いなくリアル・ミュージック・バイ・リアル・ミュージシャンだ。

途中でドラマーがスティックを投げていた。ショウの間中何度も投げていた。なんと、それらのスティックは、あまりの激しさに折れたものだった。パティステは、ドラムを叩き、スティックが折れたらそのまま観客席に投げ、さっと新しいスティックを取り、演奏を続けていたのだ。一度のライヴであんな本数スティックを折るのか。(観客のMさんは、その折れたスティックを2本ゲット! おめでとうございます)

しかも、ショウの最中、彼は右手親指を突き指というか、右腕がつってしまった。そして、隣のベース奏者ペロに指を折り曲げてひっぱってもらった。その瞬間、ものすごく痛そうな顔をした。その間、右手で叩かなければならないリフを彼は左手で叩いた。それでも、直らず、彼は途中でドラムスを離れ、しばし楽屋に行き、サロンパスのようなものを貼って戻ってきた。思わぬアクシデントだ。

ドラマーのスティックは、何本も折れ、腕までつって突き指までする。なんというバンドだろうか。しかしきっと、奴らは腕が折れても、満身創痍(まんしんそうい)でショウを続けるだろう。まさに、ショウ・マスト・ゴー・オン(ショウは続けなければならない)。それも含めて、彼らのライヴパフォーマンス。

時々、タワー・オブ・パワーや、ゴーゴーサウンド風のファンクリズムも聴こえるが、やはり、ドクタージョン、ワイルド・マグノリアス、ネヴィル・ブラザースなどのニューオーリーンズ軍団の血筋をいやがおうでも感じさせる。実に強力無比なバンドとしかいいようがない。

といったようなことを考えていても、ひとたび彼らに「イエ〜」と声を出させられたら、「そんなことはど〜〜でもいいっ、楽しい時間をすごそうぜ」という気持ちにさせられる。

ショウが終って楽屋で山岸に会った。「ねえ、今日のセットリスト、ない?」 「そんなもん、あるかっ」 一笑に付される。「曲なんか決まってないのよ。誰かが適当に音出して、そこからその曲になるから。最初の音出すのも決まってない。俺が出す時もあるし、ジョン(リーダー)が何かを弾いて曲が決まることもあるさ。あ、でも曲はあるからね。最初の音を出せば、その曲にはなるよ。大体の場合はね。時々違う曲、やってたりすることもあるけどさ。ははは」 失礼しました。

ソウルメートAが言う。「みんなが少年のよう。年を重ねるのではなく、時を越えてしまっている。周りが変化しただけで、彼らの中心軸、スピリットはまったく変わらず今日まで来ている。例えば、子供の頃音楽が好きになる時って、ただ単純に好きになりますよね。それが一歩一歩進むにつれだんだんゆがんできたりする。でも彼らはまさに純粋な道をずっと歩いてきているから、今でも本物のままだ。そしてそれだけのパワーがある。突き指しようが、そこで何が起ころうと、アクシデントも含めて、スティックが折れてその破片が客席に飛んだとしてもすべてがパフォーマンスになっている。何があっても、そこで時が流れていて、観客にすべてを受け取れと言ってるみたいな。演奏が始まった時は、観客のエネルギーレベルは低いところにあったが、ひとたび観客に『イエー』と言わせることによって、一挙に観客の温度をあげてしまう。そして、観客とバンドが一体化する。観客は参加してナンボの世界になる。ミュージシャンたちは息を止めずに、グルーヴをやり続けてる。ミュージシャンたちは、技を持った赤ん坊のようで、そのパワーは計り知れない」

パパ・グロウズ・ファンク。直訳するとパパがファンクになった。成長した。といったところだろうか。Clear And Present Funk は、「明らかに、今そこにあるファンク」の意味。

オフィシャルウェッブ
http://www.papagrowsfunk.com/

(2004年3月30日火曜=渋谷クアトロ、パパ・グロウズ・ファンク・ライヴ)

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Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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