NO.545
2004/02/14 (Sat)
Utada Hikaru Live At Budoukan: Japanese Are Proud Of You
誇り。

宇多田ヒカルのライヴ。武道館最終日。今、日本のミュージシャンでアメリカの音楽業界に出向いてそこそこの成功を得られる可能性がある唯一の人。それが宇多田ヒカルだ。野球で言えば、彼女はヤンキーズの松井、マリナーズのイチローに匹敵する素材だ。なにより、彼女が作る楽曲がすごい。このライヴでも聴かれたが、シングルヒットした曲というのはみなよくできている。曲がしっかり書けるという点、そして、英語が普通にしゃべれる点、これが大きい。まあ、何より才能ということだ。

彼女は正真正銘の日本人だが、普段僕が見る洋楽アーティストと同レベルで見てしまう。日本人アーティストを観る時は、普通日本人アーティストとしてのスタンダードで見るのだが、宇多田ヒカルの場合、どうしても洋楽アーティストのひとりという感じになる。まあ、それだけですごいことなのだが。

さて、デビュー時のライヴの時は、若干グルーヴ感があったのだが、今回のライヴは全体的な印象を一言で言うと、ロックっぽいなあ、ということだった。リズムがファンキーなグルーヴ感がなく、縦のりのロック的な感じ。だから、観客席は一曲目から総立ちにもかかわらず、皆、体が動かない。観てしまうのだ。まあ、Jポップのバンドとしては、いいのだろうか。

確か、前回ライヴはダンサーがついていたと思うが、今回はダンサーはなし。オンステージは、キーボード、ギター2人、パーカッション、べース、ドラムスの6人。もうひとり、マニュピレーター(音素材などを出すコンピューターを操作する人)がいるので、7人のバックバンドに宇多田ヒカルの歌ということになる。唯一左右に動くのが宇多田本人だけなので、ステージに動きがあまりない。唯一一番動いていたのは、天井にロープで吊られていたテレビカメラか(笑)。ステージセットは、スピーカーを少し上に持ち上げているために、実に広々している。これはなかなかいい。これだけ広いステージがあるのだから、動きのあるステージが見たい。

僕は個人的には、「オートマティック」あたりのグルーヴ感が非常に心地よかったので、こういうロックのりのリズムはいまひとつ。バックを黒人のドラマー、ベース奏者、ギターなんかで固めてみたらどうだろう。きっと、宇多田ヒカルがもっともっと光るんじゃないだろうか。このライヴだと、今のリズムオリエンテッドなアメリカでは厳しいと思う。もしこれをアメリカにもっていったら、アメリカでよく言われる言い方[She's a great songwriter(artist) but she's not great performer]みたいなことを言われる。もっとも武道館でのライヴは日本人向けのライヴであり、アメリカでライヴをやる時は、別のコンセプトでやるのだろうが。

ライヴの感想はさておき、彼女のアーティストとしての才能には、毎度驚かされる。パフォーマーとしてまだまだとしても、まだたったの21歳、これから様々な可能性がある才能だ。彼女は日本が世界に誇れる才能。そして、彼女が「日本の音楽」をある意味で世界に発信してくれるかもしれないのだ。彼女の英語の楽曲は一体どんな風になるんだろう。本当に楽しみだ。グラミーに一番近い日本人か。日本人は、将来、日本人として松井やイチローを誇りに思うように、宇多田ヒカルのことを誇りに思うことになる。

Setlist

01. 光
02. Traveling
03. Letters
04. Another Chance
05. In My Room
06. Can You Keep The Secret?
07. Addicted To You
08. Sakura ドロップス
09. 甘い罠〜Paint It, Black
10. Movin' On Without You
11.  蹴っ飛ばせ!
12. Wait & See 〜 リスク
13. Colors
14. First Love
15. Deep River
16. Distance
17. 嘘みたいなI Love You
18. Automatic

Encore 幸せになろう
Encore B&C


(2004年2月10日・火曜・武道館、宇多田ヒカル・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Utada, Hikaru



Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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