NO.389
2003/09/19 (Fri)
A Crescent Moon Behind Liz
月。

今夜のスターが登場する前、誰もいないステージ中央にぽつんと立っていたマイク・スタンド。そのマイクの位置がずいぶんと高い。「あれが、リズのマイクだろうか・・・」 もし、そうだとすると、リズはかなり背の高い女性ということになる。前回のジョー・サンプルの時に見ているはずだが、果たして、こんなに大女だっただろうか。今年初のソロ作品『ソルト』を出した、リズ・ライトのリズ・ライトとして初のライヴである。

ジョー・コーハード(ピアノ)、ダグ・ワイス(ベース)、EJストリックランド(ベース)のトリオがまず一曲ウォームアップ曲を演奏した。そして、拍手にうながされてリズが登場。マイクの前に立つリズは、やはり大きかった。しかし、顔が小さいから、モデルみたいだ。一体何等身なんだろう。アルバム未収録曲を歌いだした。彼女のCDジャケットはセピア色で彩られている。そして、そのリズの歌声は単色のセピア色そのものだった。

ジェニュイン(純粋)で、無垢で、素朴で、汚されていなくて、誠実で、シンプルで。こうした単語以外の他に形容の言葉が浮かばない。彼女には七色のカラーはいらない。アンコールを含めてリズは1時間15分にわたってモノトーンの9曲を歌った。カサンドラ・ウィルソン、ダイアン・リーヴスなどと共通する匂いが漂う。彼女は太陽ではなく、月だ。

体が大きいので、歌いながら動かす腕ひとつで、ヴィジュアル的にもリズの世界を作り出す。存在感が生まれる。若干、曲調が単調なために、一本調子になるところはあるが、シンガーとしてはしっかりと地に足がついていることがわかる。スタンダードの一曲「ネイチャー・ボーイ」を歌っていたが、なかなかいい雰囲気だった。

ライヴが終わった後、ちょっとだけ楽屋に行った。リズは大きなりんごを丸ごとかじっていた。「あ、ごめんなさい。こんな姿で」 「りんごが好きなんですね」 安定した歌声はどのように維持しているのか。「2−3日前までずっと咳がでててね。でも、直っちゃったわ。特にこれと言って、何かをするということはないわね」 「一部と二部では曲は変えるの?」 「変えるわ。ちょっとだけ。そのときの気分で」 

ジョニ・ミッチェルの「フィドル・アンド・ドラム」を、やらなかった。なぜ。「ああ、あの曲ね。別に理由はないわ。できるわ。でも、あの曲は、今、アメリカではちょっと歌いにくいわね」 「ではなぜ、録音したの?」 「プロデューサーが録音して欲しいって言ったから(笑)」 アメリカでちょっと歌いにくいというのは、歌詞のニュアンスがちょっと反戦歌的なところがあるからだ。

繊細で几帳面風な人物に見受けられた。淡くライトアップされた人影のないモーションブルーを出て車を走らせていると、横の歩道を大柄な女性が、それほど大柄ではない男性と歩いていた。なんとリズ・ライトとミュージシャンのひとりだった。ホテルまで歩いて帰っているところだった。リズ・ライト、ホテルまで徒歩で帰る・・・。まあもちろん、車も用意されているのだろうが、本人が歩いて帰りたいと言ったのだろう。そのあたりが、素朴な23歳なのかもしれない。

夜風は涼しく、大きな観覧車のライトは消え、時刻を表す数字だけが光っていた。そして、リズの後ろには三日月が浮いていた。

(2003年9月18日木セカンド・横浜モーションブルー=リズ・ライト・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>WRIGHT, LIZ

リズ・ライトのライヴは、9月19日(金)、20日(土)横浜モーションブルーで。
ただし、土曜日は満員。立ち見なら可能かもしれません。


+++++

リズ・ライト・毎日新聞・楽庫記事(2003年9月16日付け)
『幸運のクッキーに導かれ』

http://www.mainichi.co.jp/life/music/cia/2003/0916.html

リズ・ライト・関連記事(ソウルサーチン日記7月14日付け)
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200307/diary20030714.html

リズ・ライト・関連記事(ソウルサーチン日記9月1日付け)
(日にちが進むとページが変わりますので、9月1日付けをお探しください)

http://www.soulsearchin.com/soul-diary/little_diary.cgi?page=10

リズ・ライト・ライヴ
2003年9月17日〜20日 横浜モーションブルー
モーションブルーのサイト(日本語)
http://www.motionblue.co.jp/schedule/index.html


+++++


Fiddle And The Drum

written by Joni Mitchell
recorded by Danilo Perez featuring Liz Wright

And so once again
Oh America (My dear Johnny) my (dear) friend
And so once again you are fighting us all
And when we (I) ask you why
You raise your sticks and cry, and We (I) fall
Oh, my friend
How did you come
To trade the fiddle for the drum

You say We (I) have turned
Like the enemies you've earned
But We (I) can remember
All the good things you are

And so We (I) ask you please
Can We (I) help you find the peace and the star
Oh, my friend


What time is this
To trade the handshake for the fist

And so once again
Oh, America my friend
And so once again
You are fighting us all
And when we ask you why
You raise your sticks and cry and we fall
Oh, my friend
How did you come
To trade the fiddle for the drum

You say we have turned
Like the enemies you've earned
But we can remember
All the good things you are
And so we ask you please
Can we help you find the peace and the star

Oh my friend
We all have come
To fear the beating of your drum

+++++





Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
|Return|