NO.383
2003/09/13 (Sat)
What Is At The Top Of Stairway: AI Live At Quattro
ご褒美。

「オリジナル・エー・アイ!」こと「アイちゃ〜〜ん」の初のワンマンライヴ。初かあ。何度も見ているのだが、ワンマン、フルショウは初めてですか。クアトロの入口で妹のサチとばったり会った。今はおねえちゃんと一緒に住んでるという。アイは日本で最初のレコード会社が決まる前からのつきあいだから、けっこうもう古い。

初めて会ったのが99年、歌のうまさにうちのめされてもう4年か。英語の歌も、日本語の歌もここまで歌える歌手はなかなかいない。ちょうど宇多田ヒカル旋風真っ只中だった。宇多田が出て、アイを聴いたときには時代が変わったと思った。しかもアイはラップもできて、ダンスもできるときた。

アイはこれまでにアルバムを2枚だし、デフジャム移籍第一弾アルバム『オリジナル・アイ』は徐々に売れてきて7万枚を超えるという。この日クアトロは超満員。800人近くでもうこれ以上はいれられないという雰囲気。

さて、問題のライヴだが・・・。注文ありすぎ。基本的にアイは歌がうまくラップも上手なのだから、そうしたアーティストとしての良さをできるだけ出してくれればそれでかなりいいショウになる。今まで見た彼女のライヴは時間も短かったせいか、歌って、踊って、ラップしてまとまっていた。ところが今日のは、まず、長い。アンコール(どこまでがアンコールかどうかもわからないゆるゆる具合だが)含めて2時間15分。これ、楽勝で1時間半に凝縮できるでしょう。

曲間のトークがとにかくだるい。話すこと考えておいてくれ。あれだったら話さずに一気に歌いきったほうがかっこいい。そういう意味では1時間半か、まあ、百歩譲って1時間45分のショウの構成をまず考えたほうがいい。

バンドだが、ベースはかっこいいと思ったら、日野賢二だったのね。これは間違いない(アイ風に)。でもドラムスが、どうなんですかねえ。どういうバックグラウンドの人なのだろう。ロックが好きな人なのかなあ。アイがハウス系の軽いのりの歌手なら、これでもいいんだろうが、アイの場合かなり黒い感覚のグルーヴ感があるので、頭ではなく体でグルーヴ感を知っているドラマーがいい。まあ、なかなか日本にはいないんですが。確かDJとからむところがあったが、DJのスクラッチののりとぜんぜんあってない。

そのDJの10分くらいのショウはいらないでしょう。あれは、曲の中に8小節とかDJプレイをいれたほうが絶対にかっこいい。DJのソロをいれる曲が2−3曲あればいいんじゃないだろうか。まあ、アイを休ませるために必要なのかもしれないが、1時間半にすれば一気に行けます。途中で、こういうブレイクがあると、どうしても流れが分断されて、そのたびにテンションが下がる。

アンコール前、トークで終わって舞台を下りるのはどうでしょう。客は次がアンコールだということがわからない。一応終わったとは思わずに、休憩に行ったと思う。やはり歌いきって、曲が終わって「サンキュー」とか言って下りないと、アンコールの拍手のしようもない。実際、観客はとまどっていた。拍手はなく、また戻ってくるものと思っていた。最後も同じ。そして、バンドのメンバー紹介も長く感じた。もっとコンパクトに凝縮できるはず。え〜〜願いましては、トーク20分、DJ10分、バンド紹介7分、引きますと〜〜1時間38分のショウになります。そうなれば完璧です。

さて、カヴァーの部分だが、「リアル・ラヴ」(メアリーJ)、「サムバディー・エルスズ・ガイ」(ジョスリン・ブラウン)、「ソウル・ヒット・メドレー(5曲)」は、さすがにうまくこなす。水を得た魚状態。メアリーJを聴いていると、アイも日本のメアリーJかと思ってしまったり、「サムバディーズ・・・」を聴けば、さすがにのり抜群でこんなにグルーヴ感を出して歌える歌手はいないと感心し、「キリング・ミー・ソフトリー〜ドゥワップ」と来た日には、ローリンが乗り移ったかとため息をつかされる。こういうのを聴くと、ほんとに普通に洋楽を聴いているのと同じレベルで聴いてしまう。なので、これらの配置をもう少し考えるといいんじゃないかなあ。聞かせ方、見せ方よ。そして、残るはいいオリジナル曲。これ急務。

なにしろ、アイの場合、歌に力があるから、それがすばらしい。それを思い切りうまく見せることが一番なのだ。アンコールの「最終宣告」の後、サプライズ・ゲストが登場した。先日『フィールン・ソウル』にゲストでやってきて、一緒に歌い「このおにいちゃんとまた一緒に歌いたい」と言っていたゴスペラーズの黒沢さんだ。番組でも歌ったモニカの「ビフォー・ユー・ウォーク・アウト・オブ・マイ・ライフ」だ。アイが紹介し、彼が登場すると、歓声が巻き起こる。アイが曲名を言ったら、近くの人が「私、この曲大好きなの」と言うのが聞こえた。

アイと黒沢さんのコンビネーションはおもしろい。そして、こういう曲を歌うときのアイは最高だ。どうしてもアイに初めて会ったときの印象が『歌えるシンガー』というイメージが強いので、それを思わせる楽曲がくると、ぐっとくる。黒沢さんは「僕が10年前だったらかなわないよ。(彼女と同じ年くらいの)10年前に絶対あんなに歌えなかったもん」という。彼の説によると、男性シンガーは歌がうまくなるのに時間がかかるが、女性の場合は早い時期から、あるいは生まれながらにうまいというのがある、という。女性のほうがませているからかもしれない、と。なかなか日本人だと男女のデュエットってあんまりいいコンビネーションをみかけませんが、これはいい感じ。

黒沢さんは、スタジオでは歌詞を見ていたが、今日はしっかり覚えていた。「覚えたんですよ〜〜」 いやいや、いつの間に。さすが、プロです。

たくさん、注文だしました。それだけ期待が大きいというわけです。とはいうものの、まだまだ初のワンマンですから。徐々に微調整していってください。時間はいくらでもある。きっと、次回は今回より、その次はさらに次より、どんどんよくなりますよ。彼女のあのキャラクターは、誰からも愛されるもの。あのキャラに、あの歌のうまさ。これは、最大級の武器です。

大丈夫、大丈夫、ちゃんと階段一歩一歩あがってます。階段上がった頂上にはグラミー賞のご褒美があるよ。(予定よりちょっと遅れてますが。(笑))

(2003年9月12日金曜・渋谷クアトロ=アイ・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>AI

(ライヴ評タイトル・階段の頂上にあるもの)

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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