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クーリーズ・ホット・ボックス・フィーチャリング・アンジェラ・ ジョンソン『奇声とラップ』
クーリーズ・ホット・ボックス・フィーチャリング・アンジェラ・
ジョンソン
『奇声とラップ』

【2002年8月22日木曜・横浜モーション・ブルー、ファース
ト、セカンド・ステージ】

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   奇声。

   バンド・リーダーでありドラマーのクーリーが、ドラム・ソロを
叩きながら、マイクの前で、意味不明の言葉を次々と発する。それ
はまさに、奇声。「アワワア・・・」と言っているのか、その他の
擬音を発しているのか。いずれにせよ、こんなドラム・ソロは見た
ことがなかった。

   ニューヨークを本拠とするバンド、クーリーズ・ホット・ボック
ス・フィーチャリング、アンジェラ・ジョンソンのライヴは、まっ
たく予想だにしない素晴らしいできだった。

   何よりも、学生時代から10年近く一緒にやってきているという
彼らは、バンドのサウンドがタイトに確立している。

   しいて言えば、マザーズ・ファイネスト、サイド・エフェクト、
チャカ・カーン入りのルーファスといったバンドを思わせた。リー
ドのアンジェラは、デニース・ウィリアムスの声に似ている。

   歌はうまい、バンド演奏もうまい。さて、あと必要なものはなん
だ?  強力な楽曲か。予算をかけたメジャー・レーベルのプロモー
ションか。何かひとつはまれば、ブレイクしてもおかしくない力を
持っている。

   アンジェラがエレクトリック・ピアノの前に座り、弾き語りを始
めた。港町・横浜、煉瓦倉庫。しっとりとしたエレピの音から、僕
はボズ・スキャッグスの「ハーバー・ライツ」でも歌われるのでは
ないかと思った。アンジェラは「ハーバー・ライツ」は知らなかっ
たが彼女が歌ったオリジナル「クライン・オーヴァー・ユー」は、
一瞬アリシア・キーズを思わせた。

   そして考えた。アンジェラとアリシアの違いは何なのだろうか。
オウラなのか。それとも・・・。チャンスさえあれば、このアンジ
ェラだってアリシアが座っているポジションに座れるのではないだ
ろうか。だが、実際は座っていない。アリシアのほうが、アンジェ
ラの10倍才能があるのかと言うと、そんな差はないと思う。しか
し、10対11くらいのわずかな差はあるのかもしれないとも思っ
た。最初のほんの微差がゴルフボールが300ヤード飛んだ時に、
OBになるかフェアウエイをキープするかの大きな差を生み出すの
と同じだ。

   アンジェラは言う。「ニューヨークの大学にある音楽科でみんな
知りあった。もうかれこれ10年近くこの仲間たちとやっている。
影響を受けたアーティストはあまりにたくさんいて、ひとりには絞
れないわ。(笑)」

   ショウの最後に見せる声入りのクーリーのドラム・ソロは圧巻だ
。彼らのライヴは、このドラム・ソロを見るだけでも充分価値があ
る。数年前に始めたときには、ラップをやりながらドラム・ソロを
見せていた、という。それがいつしか、言葉であって言葉でないよ
うなものになり、徐々に今のような独特のスタイルになった、とい
う。その奇声は、一体何語なのだろうか、クーリーに聞いた。
   「さあね(笑)。自然にああいう形になったんだ」
   「じゃあ、クーリー語かな」  「そうだね!」

   その奇声は、クーリー語。その奇声のルーツは、ラップ。

【2002年8月22日木曜・横浜モーション・ブルー、ファース
ト、セカンド・ステージ】

吉岡正晴(音楽評論家)


CD

『アンジェラ・ジョンソン/ゼイ・ドント・ノウ』(ウッド・レコ
ード  UBCD−0002、  2548円)(2002年6月19
日発売)
    
MASAHARU YOSHIOKA
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