Standing In The Shadows Of Motown : Story Of Unsung Heroes

映画『永遠のモータウン』関連記事・特集

映画『永遠のモータウン(原題、Standing In The Shadows Of Motown)』が1日から公開され、満員が続いているという。ここでこれまでにご紹介した映画『永遠のモータウン』とその関連記事をもう一度まとめておこう。

1)  2002年12月2日付け日記。全米で映画『スタンディング・イン・ザ・シャドウズ・オブ・モータウン』が公開されたというニュース。(12月の日記はファイルがひとつになっていますので、スクロールして2日付へお進みください。)

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/soul-diary-200212.html 

2) 2003年4月29日付け日記。ファンク・ブラザース・ライヴ評。

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200304/diary20030429.html

3) 2003年10月24日付け日記。日本で『永遠のモータウン』の字幕付き試写を見ての映画評。

“Standing In The Shadows Of Motown”: Motown’s Sparkle & Shadow
光影。「モータウンの光と影」

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20031024.html

4) 2004年3月28日付け日記。ファンク・ブラザースの音源をCD化。The Funk Brothers’ Album Released 

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/little_diary.cgi?page=40

5) 2004年3月29日付け日記。『ソウルブレンズ』で、モータウン特集

(4)と(5)は、まだファイルがひとつですので、スクロールして当該の日付にお進みください。

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/little_diary.cgi?page=40

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20040328.html

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200310/diary20040329.html

6) 2004年5月6日付け日記。モータウン・ニュースいろいろ。 Motown, Motown, Motown: ”To Be Loved” Would Be TV Mini-Series

https://www.soulsearchin.com/soul-diary/little_diary.cgi

7) 映画『永遠のモータウン』公式ウェッブサイト

http://www.eiennomotown.com/index2.html

8)ベリー・ゴーディー自伝『モータウン、わが愛と夢』(原題 To Be Loved)(東京FM出版より発売中)

モータウンレコード創始者、ベリー・ゴーディーの唯一の自伝。ゴーディーがいかにしてモータウンを設立し、これを世界的な大レーベルにしたか。ダイアナ・ロス、スティーヴィー、マーヴィン、スモーキーらとの知られざるエピソード満載。映画に感動したら、この本でさらに感動を増幅させてお楽しみください。

本はこれ。↓

その時、一緒に作ったCDはこれ。↓

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ヒーロー。

この映画『永遠のモータウン』が、音楽映画は当たらないという業界の予想をくつがえして連日満員になっているのは、当初から応援してきた者としても、ものすごくうれしい。この作品のヒットの要因は、やはりドキュメンタリー作品としてうまくできているということに尽きる。

ジェマーソンや、ロバート・ホワイト、ユリエール・ジョーンズなど実にカラフルな人物たちの豊潤なストーリーは、どれもおもしろい。時におもしろく、時にほろ苦い物語は、そこに真実があるだけに人々の胸を打つ。そして、栄光と挫折、光が当たる者とまったく当たらない者とにくっきりと明暗が分かれているところが、見る者を余計に感情的にしていく。

彼らは決して「夢の中」に入ることなく、「夢の外」にしかいられなかった。そして、気が付いたらその夢自体がはかなく消えていた。そこにスポットを当て、タイトルに「スタンディング・イン・ザ・シャドウズ・オブ・モータウン(モータウンの影に立って)」とつけた瞬間から、ドキュメンタリーとしては勝利を手中に収めていたのかもしれない。

ところで、60年代の音楽業界について若干補足しておこう。スタジオで歌手のバックをつけるミュージシャンたちをクレジットしなかったのは、別にモータウンだけではない。ロックの世界でも、他のソウル・ミュージックの世界でも、特にポップ、ヒットものに関しては、どこもミュージシャンのクレジットを載せるようなことはほとんどなかった。スタックスも、フィラデルフィアのローカル・レーベルも、シカゴのチェスも一般的なソウルレコードにはミュージシャンはクレジットされず、従って日の目を見ることはなかった。

前にも述べたが、モータウンの作品でミュージシャン・クレジットを初めて載せたアルバムはマーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オン』(71年)である。ロックの世界でクレジットがでるようになったのは、69年前後あたりから。いずれのスタジオミュージシャンも、アレンジャーも印税がもらえることはなく、いわゆる「取っ払い」(スタジオで演奏が終るとその場でキャッシュをもらってすべて終了)だった。若干のソングライター(作詞家、作曲家)は、ヒットになればその作詞家作曲家印税が入ってきた。ミュージシャン自身も、いつ支払われるかわからない印税よりも、その場のキャッシュ・オン・デリヴァリーのシステムのほうを好んだ。これは、どちらがいい悪いの問題ではなく、当時はそういうシステムだった、ということだけだ。だから極論すればスタジオミュージシャンは、皆ファンク・ブラザース同様、日の目をあびない裏方なのである。

この映画は、たまたまモータウンのスタジオミュージシャンにスポットを当てたが、他のモータウン以外のヒット曲の裏にもこれと同じほどのアンサング・ヒーローがいて、彼らはいまだに無名のままスポットを浴びることもなくすごしているのだ。だから、やろうと思えば「スタンディング・イン・ザ・シャドウズ・オブ・フィリー」とか、「スタンディング・イン・ザ・シャドウズ・オブ・メンフィス・ハイ」なんていう作品もすぐにできるだろう。

ファンク・ブラザースは、まさに職人。この生き生きとしたグルーヴ感。ジャズ、ファンク、ソウル、R&Bなどの要素をたくみにとりいれた彼らもまた生粋のリアル・ミュージシャンだ。彼らはグループとしてもワン・ビッグ・ファミリーだ。そして、モータウンのもうひとりのヒーローである。

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