Ruben Studdard Live At Duo: Ruben, Piano & Guitar

正統派。

大体からして、CDを聞く前からファンになっていたわけです。ルーベン・スタッダード。様々な情報から、ダニー・ハザウェイとルーサー・ヴァンドロスが好きで、『アメリカン・アイドル』で優勝し、それまでに勝ち上がってきた曲のリストをみるだけで、「これはまちがいない」と思わせられるのに充分でした。そして、その顔、体つきを写真で見て、それは確信に。プロモヴィデオを見ての最初の印象は、その昔デビューしたデイヴィッド・ピーストンみたいだな、というもの。ピーストンはどうしたんでしょう。グラディス・ナイトがずいぶん押してましたが。ルーベンに「ヴェルヴェット・テディーベアー」のニックネームをつけたのはやはり、グラディス・ナイトということです。まちがいなく、グラディス好みの本格派シンガーです。

そのルーベンがプロモーションで来日し、31日、渋谷デュオでショウケース・ライヴを行いました。デュオは、いい席をとるためには、柱がじゃまなので、はやく行かねばと思い、勇んで行ったら、なんと一階は座席をとっぱらって、スタンディングになってました。おお、これはすごい。そうか、こうすればたくさんの人が見られる。そして、2階にあがったら、2階席の中ではなんと一番最初でした。「どこでもお好きなところへどうぞ」といわれたので、当然真中をとりました。(笑) 

それはさておき、ライヴは、ギターとピアノを弾くジョン・ジャクソンとルーベン・スタッダードの二人による完璧なアコースティック・セッション。僕は元々彼の歌声と歌唱が大変気に入っていたので、このセッションは大賛成。最初、ルーベンのヴィデオが約7分上映され、おもむろに大柄の人物が登場、ギターのところに座った。これは、ジョン。一瞬、ルーベンかと思った人もいたようだが、少し遅れてルーベンが登場。ルーベンはジョンよりさらに大きい。

ルーベンは高い椅子に座っているのですが、大きいために立っているように見えます。パーカッションを前に置き、軽く叩きながら、一曲目「キャン・アイ・ゲット・ユア・アテンション」を歌い始めました。CDではけっこうファンキーな曲だったので、最初わかりませんでした。全8曲、この日はすべてギターと歌、あるいはピアノと歌という構成。ジョンがバックコーラスまでつけます。

やはり、耳なじんだ「ハウ・キャン・ユー・メンド・ア・ブロークン・ハート」(ビージーズ、アル・グリーン)、「スーパースター」(カーペンターズ、ルーサー・ヴァンドロス)、「フォー・オール・ウィ・ノウ」(ダニー・ハザウェイ他)、「フライング・ウィズアウト・ウィングス」(ウェストライフ)などは、歌声に圧倒されます。まあ当たり前ですが、実に歌がうまい。踊るわけでもなく、ただ単にいい声で歌を聴かせ、それで聴く者を圧倒する。今時珍しい非常に正統派の男性シンガーです。本当に最近こういう由緒正しい男性R&Bシンガーがでてこなかっただけに、ルーベンには期待していました。ルーサー以来の大型シンガーではないか、などと思っているのですが、ぜひ長く歌っていってほしい。

「スーパースター」などはピアノ一本で、実に表現豊かに歌い上げます。もちろん、あちこちにルーサーの色がまぶされていますが、もうすでにルーベン節を持っています。たいしたものです。大物です。体も。(笑) 「アンプラグド」の「ソーリー2004」も新鮮。これだけ「アンプラグド」で聴くと、今度は彼の11名のフルバンドでのライヴを早く見たくなりました。

この日、バックをつけたジョン・ジャクソンは26歳。ミシシッピ出身、ルーベンとは彼がバンド活動をしていた頃からの知り合い。『アメリカン・アイドル』以前から一緒にやってきました。ルーベンのバンドのバンドマスターがいて、その彼から声をかけられ、ルーベン・バンドの一員になっています。今回は、アコースティックセッションということで彼だけが来日しました。アラバマ大学で音楽を学びました。

演奏前に上映されたヴィデオの中で、ルーベンが審査員3人の前で99番の番号をつけてオーディションを受けるシーンがありました。そこで、ルーベンはスティーヴィー・ワンダーの「リボン・イン・ザ・スカイ」をアカペラで歌い、審査員を圧倒します。審査員の「合格だ。ハリウッドに行ってもらおう」という言葉にルーベンは「おお、神様」と喜びを表現します。これは、実際のオーディション風景だったのか、再現フィルムなのか、どっちなのでしょう。でも、ルーベンがオーディションで「リボン・イン・ザ・スカイ」を歌ったのは事実です。しかも、アカペラで。第一次のオーディションはすべてアカペラで歌うのです。

ルーベンとピアノとギターだけの、シンプルな一夜。彼の成功をきっかけに、もっと正統派のシンガーがたくさんでてくればいいと思います。

ところで、ルーベンには30日にインタヴューしました。なかなかおもしろい話が聞けましたので、近いうちにご紹介したいと思います。また『フィールン・ソウル』にもゲストで登場しますのでお楽しみに。

Setlist
Showcase: Soulful
2004/3/31 @ Duo Music Exchange, Shibuya

show started 19.43

0. Video
1. Can I Get Your Attention
2. Play Our Song
3. How Can You Mend A Broken Heart
4. Superstar
5. Sorry 2004
6. For All We Know
7. What If
8. Flying Without Wings

show ended 20.25

(関連記事)

テレビ番組『アメリカンアイドル』、ケリー・クラークソンについて
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200307/diary20030717.html

ルーベン・スタッダードについて、勝ち上がり曲のリストも。
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200309/diary20030909.html

(2004年3月31日=渋谷DUO、ルーベン・スタッダード・ショウケースライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Studdard, Ruben

カテゴリー: Uncategorized パーマリンク