Marvin’s “Stand By Me”

回想。

DJマーヴィンがかかっている歌の紹介をした。「(日本語で) 65年、僕はまだ2歳ですね。マーヴィン・ゲイ! 『ハウ・スウィート・イット・イズ・トゥ・ビー・ラヴド・バイ・ユー(君に愛されるってことは、なんとすばらしいことだろう!)』! 僕はこの曲を聴くと、いつもおかあさんのことを思い出しますね。おかあさん、マーヴィン・ゲイが大好きだった。だから、私(の名前)はマーヴィンです。はははは」 オルガンのインストゥルメンタル曲がかかった。「(英語で)この曲を聴くと60年代初期のことを思い出します。あの頃は、ミシガンのデトロイトに育って、『スタンド・バイ・ミー』のような生活をしていました。そして、こんな音楽を聴いていたんです。彼らは南部出身でしたが、この曲は全米中に広がって大ヒットしました。ブッカーT&MGズの『グリーン・オニオン』!」 

マイクのスイッチが切られ、「グリーン・オニオン」のヴォリュームがあがった。「『スタンド・バイ・ミー』みたいな生活ってどんなの?」と僕は訊いた。ヘッドフォンを首にかけているマーヴィンが話し始めた。「毎年子供の頃、夏休みになると近所の友達と電車に乗って、ちょっと遠くに行ってみたりしたんだ。貨物列車みたいのに乗ってね。飛び乗る感じ。別に泊まりで行くわけじゃないけど、ちょっとした小旅行。だいたいいつも、5-6人仲のいい友達がいてね。小学校からハイスクールまで、みんな同じ学校に通うから、みんな仲間みたいなもんだよ。僕はクラス・オブ・80(80年卒)なんだけど、卒業10周年と25周年でリユニオン(同窓会)があるんだ。10周年は行ったよ。半分くらいの人は、街をでたりしていたけれど、半分くらいの人はその街からまったく出てないんだよね。あの頃、一緒に遊んだ連中は、生涯の友達(friends for life)っていう感じだなあ。そういうのはあんまり日本ではないみたいだね」

「夏休みはいつも一月くらいミシシッピのおばあちゃんのところに行ったんだ。母のほうのおばあちゃん。マッコムっていう本当に小さな街。ジャクソン州トュペロの近く。もう、見渡す限りとうもろこし畑。とうもろこし、とうもろこし、とうもろこし…。どこを見てもとうもろこししかないんだよ。(笑) 田舎の人たちは、僕たちが都会から来たっていうと、もの珍しがって、なんでも訊きたがるんだよ。『あれはどうなの』、『これは本当か』とかね。夜は、街にネオンとかないんだ。真っ暗になって、空一面に星が広がる。何にもないからおもしろいんだよ」

僕はアメリカ南部の広大な土地を想像した。自然以外、何もないところ。ひたすらまっすぐで、急な坂が上がったり下がったりするような舗装されていない道。川や森があって、様々な動物が周りにはいるような。「川とかで泳ぐの?」と訊く。「いやあ、泳がない。ワニがいるかもしれないから。(笑) そのかわり、蛙を取ったり、木を切ってブランコを作ったり。ショットガンでハンティングしたり」 「えええっ、10歳くらいで、銃でハンティングするの?」 「みんなするよ。ショットガンっていうのは、弾を撃つと小さい玉があちこちに広がるの。だから、けっこう鳥とか落ちる」

「こんな感じ」といって、白い紙にその家近辺の絵を書いてくれた。おばあちゃんのうちがあって、その奥に森があって、右手と左手に別の家がある。マーヴィンは自分にいとこが何人いるかわからない、という。近所の家に遊びに行くと、みなそれぞれの家でソウルフードをふるまってくれる。

「ハウ・スウィート・イット・イズ」は、しばしマーヴィンに『スタンド・バイ・ミー』時代を回想させたようだ。そんな話をしていると、そろそろ次の曲が終ろうとしていた。マーヴィンがマイクのスイッチをオンにした。

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「ソウル・ブレンズ」(インターFM76.1)は毎週日曜日午後1時から5時まで。僕の出番は、午後2時35分くらいからの「ソウル・サーチン」のコーナーと、4時半からの「山野ミュージック・ジャム」です。ご意見、ご希望ありましたら、ぜひどうぞ。 
marvin@interfm.co.jp

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