The Beach In Winter, The Beach In The End Of Summer: That's What Sensitive Piano Man Senoo Takeshi Portrays 

自由度。

基本的にはソウルばっかり聴いて、毎日ソウルをサーチンしているのですが、実はピアノのCDかなんかを聴いて安らぐ時もあります。最近ちょっと疲れた時に聴くのが妹尾武(せのう・たけし)さんのピアノのアルバムです。タイトルは『シーズンズ』(ポリスター)。去年の11月にリリースされています。これは彼のピアノだけ、その他の楽器は何もなし、という超シンプルな作品。極端な話、ピアノと彼さえいれば、どこでもできるアルバムです。そして、そのアルバムのトラック1、5、6の3曲をリピートにして、聴いたりしてます。3曲で7分強のイメージの世界。

1は「The Season Comes」、5は「材木座海岸」という曲で、両方彼のオリジナル。前者は36秒ほどの短い小品なんですが、後者は3分10秒ほどの実にメロディーが美しい、心が洗われるような一曲です。タイトルの「材木座海岸」というのは、僕もよく覚えている場所なので、このタイトルに妙にやられました。そして自分勝手に、この曲を聴くと冬の材木座を思い出してしまうのです。夏ではありません、ほとんど人もいないような冬なんです。妹尾さんによると、「自分なりの材木座海岸のイメージ」ということです。

そして、これに続いてでてくるのが、ミッシェル・ルグラン作の名曲「サマー・ノウズ」(3分25秒)。映画『サマー・オブ・42(思い出の夏)』のテーマ曲です。これは、物悲しいメロディーなんですが、今度は夏の終わりのイメージなんですね。どこかの海岸でもいいかもしれません。ちょっとは人がいて、ゆったり散歩しているイメージ。まあ、これは映画の残り香みたいなものがあってそういうイメージを持つのかもしれませんが。

どうも僕は妹尾メロディーと相性がいいようです。おととしのリリコさんのライヴで印象に残った「キセキノハナ」という歌があったのですが、これが妹尾さんの曲ということを後で知りました。(2002/12/24 付け日記) ゴスペラーズの「永遠に」は彼の最大のヒットです。そして、今度のマーチンさんの新作『Shh…』(2月25日発売予定)の一番最後に入っている「君の未来、僕の想い」という曲がアルバムを通してもっとも僕にコネクトしたのですが、なんとこれが再び妹尾さんの作品でした。またまたびっくり。この曲はタイアップとれたらオリコン・ベスト10間違いなしです。とれなくても、いけるかも。(笑) 

彼のピアノを聴いていると、いろんな古き良き時代の映画のワンシーンがふと立ち込めてくるような雰囲気になるのです。繊細なピアノ演奏からイメージが膨らんでいきます。言葉がない分、聴く者により多くの自由度を与える。そして、イメージ創造に火をつけてくれる彼の自由度の高いメロディーには、自分なりに映像をつけてみたくなります。メロディーメイカーとして、そうですね例えば、日本のヘンリー・マンシーニを目指してください。僕が映画監督だったら、絶対に彼の作品を使いますね。

一人のピアニストが、同じ88の鍵盤を使って、夏の終わりの海辺と冬の海辺を描き分けます。彼は四季をそれぞれに奏でるピアニスト。

妹尾さんのオフィシャルホームページ

http://home10.highway.ne.jp/senoo/index2.html

ENT>MUSIC>ARTIST>Takeshi, Senoo

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