Quiet Storm to Smooth Jazz

静嵐。

昨日、ちょっと「クワイエット・ストーム」のことに触れましたが、このフォーマットがアメリカで急速に注目され始めたのは、86年頃のこと。その流れにのってスターになったのが、ホイットニー、アニタ・ベイカー、ルーサー・ヴァンドロス、あるいはケニーGなどでした。

「クワイエット・ストーム」はアメリカのラジオのフォーマットのひとつ。76年ワシントンDCのハワード大学の学生が始めたフォーマットでした。それは、当時大全盛だったディスコの対極として静かなソウル、R&Bと若干のスローなジャズをかけるといういかにも大人向けのもので、特に深夜の時間帯にもってこいのプログラムでした。

このフォーマットは徐々に都市部で人気となり、サンフランシスコのラジオやニューヨークのWBLSなどがこれをとりあげ、「クワイエット・ストーム」の番組を始めます。そして、それに火がついたのが86年頃。この人気に目をつけた各地のラジオ局はぞくぞくとこのフォーマットを真似、一時期は100局以上のラジオ局が「クワイエット・ストーム」を自局にとりいれるようになりました。

そして、90年代に入ると、今度は非ヒップホップであるR&Bの中でじっくり聞かせるR&Bに対して「スムースド・アウトR&B」といった言葉が冠せられるようになります。いかにも、例えば、アル・B・シュアとか、キース・スゥエットとか、キース・ワシントンなどなど。なめらかなソウル、R&Bということです。

こうした「クワイエット・ストーム」系のフォーマットが人気となると、今度はこれのジャズ、フュージョン・ヴァージョンが登場します。80年代中期にカリフォルニアに登場した「ウェイヴ」というフォーマットがそれにあたります。日本のJウェイブは、当初そのフォーマットを参考にして、大人向けの選曲をしていきました。かなり乱暴に言えば、「ウェイヴ」というのは、「クワイエット・ストーム」のジャズ版、白人版となるかもしれません。そして、それがさらに進化して「スムース・ジャズ」のフォーマットというわけです。

「スムース・ジャズ」という言葉がひんぱんに使われるようになったのは、90年代初期から。それまでのフュージョン、ジャズよりさらに洗練され、イージーリスニング的になったニュアンスが感じられます。スムースな、つまりなめらかなジャズということです。

「クワイエット・ストーム」は75年のスモーキー・ロビンソンのヒットから取っています。今でもWBLSでは夜10時から夜中の2時くらいまで毎日「クワイエット・ストーム」やっています。ニューヨークの夜10時は、日本では翌昼12時。朝、起きたててで「クワイエット・ストーム」などを聴くと、すっかりゆったりした気分になってしまいます。

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