△磁力持つオバマのソウル・スピーチ

△【磁力持つオバマのソウル・スピーチ】
磁力。
昨日NHKのBS1で『大統領のことば~マケイン、オバマの演説術』(2009年1月18日日曜、午後7時10分~9時、NHK-BS1)という番組をやっていた。これは昨年11月3日に放送されたものの再放送だったが、とてもおもしろかった。11月3日というのは、翌日、オバマが勝利演説をする前日で、そこで意見を言うコメンテーターもどちらになるかわからず発言していた。
マケインの演説をそれほど見る機会はなかったが、けっこう味のある話をする人だということを初めて知った。特にヴェトナム戦争に行って捕虜になってというあたりは、実にうまく、これならオバマといい勝負をするのではないかと思った。そのときも、オバマは自身の話、祖母の話をいれ、相当感動的な話をしていた。
オバマとマケインのスピーチでの決定的な違いは、マケインはやはり典型的なアメリカ人らしく、「I(私)」が主語になる文章が圧倒的に多いということ。「おれ、おれ、おれがこうだから、さあ、みんなついてこい」みたいな、オレオレの自己主張が強い感じがした。たぶん、今までの候補者はそういうのが多かったのかもしれない。対照的に、オバマは「You」が主語になることが多い。そして、それについで、「We」を使う。何かにつけ、「あなたたちが~」とくる。そして、自分のことを言いたいときも「私たちが~」とやる。これは、さすがにうまい。これからのスピーチは、このYou とWe使いが、主流になるのではないだろうか。その点でオバマ・スピーチは、スピーチの歴史も変えたような気がする。
それから、マケインは解説者の人も言っていたが、小さな集会などで、あまり作りこまずにやりとりを含めて進めていくことが多かった、という。もちろんそれはそれで効果的で、だからこそ共和党で一番になった。一方、オバマは大観衆の中でやることが多く、僕はそのコール&レスポンスの巧みさもマケインを圧倒していたと感じた。あのコール&レスポンスは黒人ならではだと思う。間の取り方なんて、天才的だとさえ感じる。
途中でケネディー、レーガン、クリントンらの演説の一部が出た。レーガンは、スタジオでテレビなのに、ラジオの「ワン・トゥ・ワン」(一人ひとりに話しかける)のような親しみやすさを感じた。あれはあれで、ひとつのスタイルだろう。一方、オバマはライヴ向きだ。観衆を手中に収めるのがうまい。
ケネディーはひじょうにカリスマティックで、人を引き付ける。しかしオバマの演説はケネディー以上の磁力を持っているのではないだろうか。言葉になにしろ誰よりも、ソウルがこもっている。まさに『ソウル・スピーチ』だ。20日の就任演説はどのような歴史的演説になるのだろうか。
■オバマ演説集
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