●オバマ大統領誕生~アレサの歌が祝福

●【オバマ大統領誕生~アレサの歌が祝福】
自由。
オバマ新大統領誕生を、ソウル・サーチャーの視点で。
およそ70年前、1939年4月、黒人のクラシック・シンガー(正確には女性コントラルト歌手=ソプラノ、メゾ・ソプラノより下の声域の歌手)、マリア・アンダーソンは、ワシントンDCの「ドーターズ・オブ・アメリカン・レヴォリューションズ(DAR)・コンスティテューション・ホール」で歌うことを禁じられた。彼女の肌が黒いという理由だった。そこで当時のアメリカ内務長官の力添えで彼女は近くのリンカーン・メモリアル公園で歌うことになり、そこには7万5000人の聴衆が集まった。マリアは、アメリカのアンセム「マイ・カントリー、ティーズ・オブ・ジー(「わが国、それは汝のもの」の意味)(「アメリカ」というタイトルとしても知られている)を歌い、聴衆は彼女の美しい声に酔いしれた。
その同じ月、その同じ街、ワシントンDCにひとりのシンガーが生を受ける。1939年4月2日に生まれたマーヴィン・ペンツ・ゲイ・ジュニアだ。マーヴィンは、このマリア・アンダーソンの話を実父から聞いた。「それに僕は感銘を受けた。マヘリア・ジャクソンに感じるのと同じように、アンダーソンさんにもものすごく親しみを感じたんだ。彼女たちは、立派な素晴らしい女性たちだ。世界に知られる最高級のシンガーだよ。父自身、素晴らしい声を持っていて、素晴らしいシンガーになる資質を持っていた。最初の頃、多くの場合、夢の中での話だけど、僕はそんなシンガーになりたいと思っていたんだ」(『ディヴァイデッド・ソウル~引き裂かれたソウル』=デイヴィッド・リッツ著、第2章より)
1963年8月28日、マーティン・ルーサー・キング牧師は、ここで歴史に残る「アイ・ハヴ・ア・ドリーム(私には夢がある)」の演説を行った。1月19日は今年のキング・ホリデイでもある。(キング牧師の正式な誕生日は1月15日だが、祝日は毎年1月第3週の月曜になっている)
マリアが歌ってから70年、キングが語ってから46年。そのワシントンDCのモールにアメリカ史上初の黒人大統領が姿を現した。
多くのスター、セレブたちが新しい大統領を祝福しにやってきた。18日、その時点ではまだオバマ次期大統領だった彼が演説した後ろには、奴隷解放の父、エイブラハム・リンカーンの銅像が鎮座していた。
オバマ氏が「スティーヴィーの音楽を聴いて育った」と聞いたスティーヴィーは、「僕が書いた曲、メロディーが彼の人生の一部になったのなら、おそらく、僕も大統領の一部に寄与できたということで嬉しい」と語った。
18日、ジョシュ・グローバンとへザー・へドレーは、マリアが70年前に歌った「マイ・カントリー、ティーズ・オブ・ジー」を歌った。
18日、「プライド」を歌ったU2のボノは、歌い終えてこう語った。「この曲は、アイリッシュ人の夢、ヨーロッパ人の夢、アフリカ人の夢、イスラエル人の夢です」 そして、長く息をついた後に、「そして、パレスチナ人の夢でもあります」と。
そして、2009年1月20日正午前(現地時間)就任式典にクイーン・オブ・ソウル、アレサ・フランクリンが登場した。万雷の拍手とともに堂々と再び「マイ・カントリー、ティーズ・オブ・ジー」を歌った。マリア・アンダーソンが「マイ・カントリー…」を歌ってから約70年、アフリカン・アメリカンであるアレサ・フランクリンが同曲をワシントン・モールの200万人を前に、そして、テレビ中継などで見られる何億人の前で、歌った。
“My Country, ’Tis Of Thee”(or”America”)
1)
My country, ’tis of thee,
Sweet land of liberty,
Of thee I sing;
Land where my fathers died,
Land of the pilgrims’ pride,
From every mountainside
Let freedom ring!
4)
Our fathers’ God to Thee,
Author of Liberty,
To thee we sing,
Long may our land be bright
With Freedom’s holy light,
Protect us by thy might
Great God, our King.
Let it ring
同曲の1番と4番に短縮した約2分45秒の見事なパフォーマンスを感慨深く聴いたオバマ氏。歌が終わると同時に自由の鐘が、ワシントンDCに鳴り響いた。
その後、オバマ新大統領は約19分にわたって就任演説を行った。その中で彼は言った。「これが私たちの自由であり、私たちの信念なのです。なぜ男性も女性も、あらゆる人種もあらゆる宗教の人々もこの素晴らしいモールで共に祝福できるのか。わずか60年にも満たない昔、ここに立つ男の父は地元のレストランに入れませんでした。しかし、なぜ、その男は今みなさんの前でもっとも聖なる宣誓を受けることができたのか? (それがアメリカの自由であり、信念なのです)」
This is the meaning of our liberty and our creed — why men and women and children of every race and every faith can join in celebration across this magnificent Mall, and why a man whose father less than 60 years ago might not have been served at a local restaurant can now stand before you to take a most sacred oath. (Obama inauguration speech)
1968年、ディオンが歌った「エイブラハム、マーティン&ジョン」をマーヴィン・ゲイが歌った。エイブラハム・リンカーン、マーティン・ルーサー・キング、そして、ジョン・F・ケネディーの3人を語った名曲だ。この地に生まれたマーヴィン・ゲイが、もしこの日、このオバマの大統領就任を目撃したら、一体何と言っただろうか。
“Abraham, Martin, and John”
Sung by: Marvin Gaye
Words and Music by Richard Holler
Has anybody here seen my old friend Abraham?
Can you tell me where he’s gone?
He freed lotta people but it seems the good they die young
You know I just looked around and he’s gone
Has anybody here seen my old friend John?
Can you tell me where he’s gone?
He freed lotta people but it seems the good they die young
I just looked around and he’s gone
Has anybody here seen my old friend Martin?
Can you tell me where he’s gone?
He freed lotta people but it seems the good they die young
I just looked around and he’s gone
Has anybody here seen my old friend Bobby?
Can you tell me where he’s gone?
He freed lotta people but it seems the good they die young
I just looked around and he’s gone
歴史にもしはないが、もし、マーヴィン・ゲイが生きていたら、この日、ここで彼が歌っていたとしても、なんら違和感はない。
■ ベスト・オブ・マーヴィン・ゲイ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001HXY8X4/soulsearchiho-22/ref=nosim/
(「エイブラハム、マーティン&ジョン」はディスク3に収録。これが入ったCDはなかなかありません)
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