◆高山広・一人芝居~20周年中年

◆Takayama Hiroshi : Non Gate Theatre:20th Anniversary Middle Ager

【高山広・一人芝居~20周年中年】
20周年。
一人芝居の高山広さんが、阿佐ヶ谷にあるザムザという劇場で、本人の20周年公演を行った。ここは彼が杮落としをやったという劇場だそうだ。今回は4日間5公演。会場のキャパ(収容人数)は約100人くらい。座席が階段状になっていて、後ろでも十分に見られる。マイクPAなしで生声が通る。
一人芝居とは、演者一人が何人もの人間や、物になって、それらの気持ちを代弁するもの。現実と非現実のはざまにある物語を独特の語り口で、時に熱く、ときにクールに、ときにかっこよく、ときにダサク演じる。と、文字に書いてもその感覚、空気は伝えにくいので、何はともあれ、一度彼のライヴに足を運んでもらうのが一番いいと思う。『ソウル・サーチン』イヴェントではこれまでに2度ほど、「ルーサー・ヴァンドロス物語」と「アレサ・フランクリン物語」を演じてもらっている。
さすがに本格的な劇場でのパフォーマンスはすごい。暗転するところから始まると、真っ暗闇になる。そして、スライド映像が流れ、スポットが当たり、次々と題目が演じられる。今回のテーマ、「20周年中年」は、最近の「20世紀少年」から。(笑) このあたりの旬ネタのつかみは抜群だ。しかも、音楽、効果音とのコラボも完璧だ。当たり前といえば当たり前かもしれないが。
それにしても、彼は一体何人分の人間に、そして、いくつ分の物体になれるのだろう。しかも、それをこの2時間一人きりでしゃべりきる。BGMと効果音、そして、照明によって、とても完成度の高いパフォーマンスになっている。
下記セットリストで「新作初公開」と印したのは、今までにどこでもやっていない新作中の新作。3本もある。「田中邦衛風」の「北の犬から」は、状況設定が後半になってわかるという、高山作品独特のストーリー展開でおもしろかった。設定がいつもながらに奇抜で楽しい。
さらに、力作の新作「タクシー・マスター」も、前半・中盤・後半の3パートのメリハリがあって、しかも、予期せぬ展開があり、長い作品だが集中を切らすことなく楽しめる。ここまで起承転結がしっかりしていると、まるで映画を見ているようだ。ちょっとオチが僕には不満気ではあったが、作品としては大変よく出来ている。これも最近の世相を見事に高山流に描いていて、おもしろい。
最後の熱演「いっしゅんの夏」は僕は2006年8月に目黒のミッドナイト・アワーで見たが、これも圧巻。ただ、一番最後の花火が光を放ちながらの部分が若干長いかなという気もする。もうちょっと短くしてもいいかも。それにしても、2度目の観劇でも、すっかりストーリーに入れて楽しめるというあたりが、完成度が高い作品ゆえだろう。
長尺ものはやはりストーリー展開が抜群にうまい。そして、それを抑揚をもって演じられるというところがすばらしい。しかし、なんでセリフ、いい間違えたりしないんだろう。(笑) どうやってセリフ覚えるんでしょう。ぜひもっと多くの人に見ていただきたい。
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■ 高山広オフィシャル・ウェッブ (公演情報などはこちら)
http://schop.air-nifty.com/takayama/
■ メンバー
【作・演出・出演・タイトル文字】高山広
【照明】岩城保
【音響】菅澤成人、伊東孝
【舞台監督】今井東彦
【タイトル映像】小田史一、石川泰久
【音響操作】佐藤潤平
【舞台写真】坂上恭史
【監修】吉田健美
【制作・ちらしデザイン】小口宏
【企画・製作】NON GATE THEATRE
【URL】http://www.nongate.jp
http://schop.air-nifty.com/takayama/(高山広ワールド)
■セットリスト 高山広@阿佐ヶ谷ザムザ 2008年9月6日(土)
20周年公演 『劇輪 20周年中年』
Setlist : Takayama Hiroshi One Man Play
show started 14:06
00. オープニングショートショウ(スライド)
01.~シリーズ・おツカレな人々~ 『忘れ者』
02.『フードファイター① 大食王 帰宅編』(劇場初公開)
03.『フードファイター② 大食王 王座陥落の夜編』(劇場初公開)
04.『~観るBGM~贅沢日和~』(2シーン)
05.『北の犬から。~忠犬失格~』(新作初公開)
06.『やさしい雨の居る風景』(新作初公開)
07.『~世界文学タイトルシリーズの章~セールスマンの死』
08.『TAXI MASTER/タクシーマスター』(新作初公開)
09.~シリーズ・おツカレな人々~ 『ひとり暮ら死』
10.『いっしゅんの夏』
—- エンディングクレジット
show ended 16:10
(2008年9月6日土曜、阿佐ヶ谷ザムザ=高山広ライヴ)
ENT>PLAY>LIVE>Takayama, Hiroshi
2008-151
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