◎ベン・シドラン語る

◎Ben Sidran Talks

【ベン・シドラン語る】
インテリ。
ロック、ジャズ、ワールドなどあらゆる音楽に精通し、自らジャズ・アーティストとしても活躍するベン・シドランが、昨日の『ソウル・ブレンズ』(インターFM=東京76.1mhz、毎週日曜15時~17時)にゲストでやってきた。ちょうど今日からコットン・クラブでライヴを行うための来日だが、ベスト発売、旧作紙ジャケットでの再発などもあり、ちょっとした話題だ。
さて、スタジオロビーに入ると、ベンがひとりでコーヒーなどを見ていたので、思わず声をかけてしまった。自分の名前を名乗り名刺を渡すと、「ソウル・サーチャーか、いい名前だね」。そこで「あなたは、ソウル・サーチンしていますか」と聞くとすかさず「oh, whole life(生涯を通じてね)」。う~む、これは息があいそう。(笑) 「ソウル・サーチャーというグループがいたよね」 「おお、先月日本に来てたんですよ」 「あのリズム、ゴー・ゴーは最高だ!」といいながら、ゴー・ゴーのリズムを口と手を使ってやりだす。「ゴー・ゴー・スタイルの曲は録音したことはありますか」 「いやあ、さすがにないな、僕のスタイルとはかなりちがってるからね。でもあのリズムは最高」
彼の容姿とそのインテリジェンスの雰囲気から、なぜか僕の口からは、「あなたは本は書かないのですか」という言葉が。「出してるよ」 「いつ?」 「一年ほど前かな、『ア・ライフ・イン・ミュージック』という、自伝本だよ。アマゾンで買えるよ」 「それは知りませんでした」
その前にすでに2冊ほど出していた。「僕は大学時代から、ノートにいろいろ書いてきたんだ。日記? そんなようなものだな。いつどこで誰と何をしたか、簡単なメモなんだけどね。それを元に記憶を呼び戻し、本を書いた。次の本の構想もあるんだ。それは、『ユダヤ人がアメリカ・エンタテインメントの世界に与えた影響』というもの。タイトルはまだ決めてないけどね。僕自身ユダヤで、エンタテインメントの世界で、偉大な作曲家、ロジャース&ハマーステイン、ガーシュイン…たくさんいる。音楽界だけでなく、映画界でも、スピルバーグやらなんやら多数いる。そうした連中がこのエンタテインメントの世界にどのように入り込み、システムを築き上げ、成功をものにしていったのかをかいてみたいんだ。ユダヤと黒人のことも触れてね。僕の最初の本は黒人の文化の歴史についての考察なんだ」
「実は僕もいくつか翻訳をてがけているんですよ。ベリー・ゴーディーの自伝、最近では映画がでたときにレイ・チャールズの自伝なんかも」 「おおっ、ディヴィッド・リッツだね」 「そうです、いい友人なんです」 「僕もだ。しばらく会ってないな。彼はどうしてる?」 「元気にしてると思います。なにかあると、メールのやりとりをします。レイの本を出したときには、彼が死後からの十数ページを書き下ろしてくれました」 「じゃあ、彼によろしく伝えてくれ」
けっこう立ち話で話してしまったが、すぐに本番になった。そして、彼がマーヴィンに紹介されマイクに話し出した。ブースの外で聴いていたが、その声の良さに驚いた。実にマイクのりする、そして、発音もきっちりとしたDJ、アナウンサーのようなしゃべり手ではないか。いつでもインターFMでDJができる。(笑) 一緒にこちら側で聞いていたオッシーとともに、「いい声ですねえ、番組ができますね」。しかもテンポがいい。マーヴィンとベンが話していると、まるでニューヨークあたりのトークレイディオのような雰囲気さえ漂う。へたするとベンがDJで、マーヴィンがゲストかと思ってしまうことも。
どうやら、むこうの学校で音楽を教えたりすることもあるらしい。自分が授業用に書いたテキストを本にしようかと思ったが、ぐちゃぐちゃで自分でも整理がつかなくて断念したこともあるそうだ。また、先のベンの自伝は、日本では吉成伸幸氏が翻訳に手をつけていて、半分くらいまで来た、とのこと。注釈が多く、とても苦労しているそうだ。
それにしても、昔から日記を書いたり、本を出したり、ベン・シドランはかなりのインテリだ。「大学の頃、将来、作家になりたいとか、新聞記者になりたい、などと思いましたか」ときくと、「う~ん、どうだろう。ただミュージシャンは考えていなかった。とても、音楽で飯が食えるとは思えなかったから」 「でも、今ではこうして音楽家として成功し、ここに来ていますよ」 「いやあ、僕はとても成功した、なんて言えないね(笑)」
ベン・シドランは1960年代、白人ながらブルーズを演奏するスティーヴ・ミラー・バンドにキーボード奏者として加入、ここには他にボズ・スキャッグスなども在籍していた。ブルーズ、ジャズ、ソウル、あらゆる音楽を実によく知っている。そして、いろいろなミュージシャンとも多数のコラボレーションをしているので、おもしろいエピソードをたくさんもっている。そのあたりの話もいつかまたじっくり椅子に腰掛けてきいてみたい。
■ ベン・シドラン 名盤『アイ・リード・ア・ライフ』
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ENT>ARTIST>Sidran, Ben
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