◆# 1972年5月の衝撃~ベスト10、8曲をブラック・アーティストが独占: シャイ・ライツ「オ

◆# 1972年5月の衝撃~ベスト10、8曲をブラック・アーティストが独占: シャイ・ライツ「オー・ガール」のヒットから(パート2)
(昨日の「オー・ガール」誕生秘話の続き)
【Oh Girl And May 1972】
全米トップ40。
1972年4月から5月にかけては、けっこう音楽好き、洋楽好きだった僕にとっては大きなターニング・ポイントだった。
何がターニング・ポイントかといえば、『全米トップ40』がFEN(現在のAFRTS、米軍放送)で始まったのだ。当初は土曜の午後1時から2時の1時間番組で、ビルボード・ホット100の13位前後から1位までをカウントダウンしていた。最初はカウントダウン番組だとは思っていたが、それがビルボードのホット100を下からかけているのに気づくのはしばらくたってからだ。番組の中ではケイシー・ケイスンは、なぜかビルボードの名前をほとんど言っていなかったと思う。
ケイシー・ケイスンの軽快な分り易い英語のDJ、ひじょうによく練られた台本で、毎週必ず聴くようになった。ここで紹介されるアーティスト情報は、斬新で知らないことがとても多く、とても有益で勉強になった。
当初はこれが40曲を3時間かけて紹介する番組などということは知らずに、ただ上位の曲を下から順にかけていくのだと思っていた。しかし、しばらくして、これが2時間枠で放送されるようになり、さらに3時間放送され、40曲すべてが聞けるようになる。なるほど、オリジナルは3時間番組だったのだ、と知ることになる。
そして、この番組が日本のAM局ラジオ関東(当時)で始まるのが、1972年10月からである。湯川れい子さん、坂井隆夫さんの名DJ、解説で放送される。ラジオ関東の『全米トップ40』は土曜夜10時から3時間の放送だったので、当初は土曜日は昼間にFENでベスト13曲程度(週によって12~14曲だったり。曲の長さで変わる)、夜に40曲すべてが聴けるようになった。
「オー・ガール」は、FENや『全米トップ40』で聞いていたころ、ポップ・チャートでトップ10入りを果たし、5月27日付けビルボード・ホット100で1位になる。本当にリアル・タイムでよくかかっていた。もちろん、ビルボードで1位だから、同番組でも毎週かかっていた。
「オー・ガール」は、それまで6週間1位を続けていたロバータ・フラックの「ファースト・タイム・エヴァー・アイ・ソウ・ユア・フェイス(愛は面影の中に)」を蹴落として1位になった。
トップ8。
そして、これに先立つ1972年5月13日付けビルボード・ホット100でちょっとした記録が打ち立てられた。それは、ホット100(ポップ・チャート)のベスト10のうち上位8曲がブラック・アーティストによって独占されたのである。
上位からランクは次の通り。
1. The First Time Ever I Saw Your Face / Roberta Flack
2. I Gotcha / Joe Tex
3. Oh Girl / Chi-Lites
4. I’ll Take You There / Staple Singers
5. Rockin’ Robin / Michael Jackson
6. Betcha By Golly Wow / Stylistics
7. Look What You Done For Me / Al Green
8. Day Dreamin / Aretha Franklin
9. Back Off Boogaloo / Ringo Starr
10. A Horse With No Name / America
このリストをごらんになるとお分かりになると思うが、なんと1位から8位までブラック・アーティストが独占した。これは衝撃的だった。僕もごたぶんに漏れずトップ40からはいってきたのだが、だんだんその中でも好きな曲というのが絞られてきていて、それらがたまたま全部黒人がやっていたことに気づく。で、どうやら自分はこういうのが好きみたいだということになり、ホット100のチャートだけでなく、当時のソウル・チャートを追いかけるようになる。そして、ソウル好きになっていく。
そういう意味で、この1972年5月のポップ・チャートでのトップ10中8曲独占というのは、ブラック・ミュージック全盛を印象付ける象徴的な出来事だった。その8曲ともどれも大好きだが、その中の1曲にこのシャイ・ライツの「オー・ガール」があったから、格別の思いがある。
ヴァラエティー。
そしてこのブラックの8曲をよく見ると、一口にブラック・ミュージック、ソウル・ミュージックと言ってもとてもヴァラエティーに富んでいて、ブラック・ミュージックにもさまざまなタイプがあることがわかる。
日本で「ニュー・ソウル」などと呼ばれたまさに新しい感覚の知的なソウル、ロバータ・フラック、ジェームス・ブラウン・タイプの従来風のファンキーな味わいのシャウト系ソウル、シカゴ・サウンド、今で言うメローでスイートなソウル、チャイ・ライツ、ゴスペルのステイプル・シンガーズ、オールディーズ、またポップ・ソウル、バブルガム・ソウル、マイケル・ジャクソン(「ロッキン・ロビン」はボビー・デイのカヴァー曲)、フィリー・ソウル(フィラデルフィア・ソウル)のスタイリスティックス、メンフィス・ソウルのアル・グリーン、クイーン・オブ・ソウル、レディー・ソウル・ナンバーワンのアリーサ。ということで、言ってみれば、この8アーティストを見ると、それは当時のソウル・ミュージック界をじつにうまく凝縮しているような感さえある。
これにスティーヴィー、ダイアナ・ロス、マーヴィン・ゲイなどのモータウン勢や、カーティス・メイフィールド、ダニー・ハサウェイ、レイ・チャールズ、ジェームス・ブラウンらがはいれば、ほぼ大きな流れはつかめるほどうまく凝縮されているのだ。
1970年代にさまざまなソウル・ミュージックのタイプが全米の音楽シーンでもてはやされ、隆盛を極めていく。このあたりから当時高校生だった僕のソウル・ミュージックへの熱が一気に加速してきたような気が、今から思えば、してくる。
+++++
1位のロバータ・フラック

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3位 チャイ・ライツ

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4位 ゴスペルソウル、ステイプル・シンガーズ

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7位アル・グリーン

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