◎ 由紀さおりとピンク・マルティーニ(フィリップ・ウー&ニューヨーク・オールスターズ(パート2)

◎ 由紀さおりとピンク・マルティーニ(フィリップ・ウー&ニューヨーク・オールスターズ(パート2))
【Philip Woo & New York All Stars】
(昨日からの続き)
音楽談義。
フィリップ・ウーのライヴが始まるまで、湯川れい子先生とニューヨークのファースト・クラス・エンジニア、ゴー・ホトダ(Goh Hotoda)さんとしばし音楽談義に花が咲いた。
湯川さんに、まずこのバンドについて軽くご説明をした。久保田利伸バンドのメンバーで、ドラムスとコーラスの2人は来年1月までずっと日本にいて、ツアーにでている、ということ。フィリップ・ウーはニューヨークで長く活躍し、メイズ、ロイ・エアーズ、アシュフォード&シンプソン、ジェフリー・オズボーンなど数々のR&B系アーティストバックをつけたりしているということなどなど。
湯川さんは最近来日していたベンEキングにインタヴューをされ、そのときのお話などもされた。FM横浜の湯川さんのラジオ番組でオンエアされるそうだが、ベンEキング本人がとってもいい人で、50年以上一人の妻と寄り添っているという話しや、今回の「上を向いて歩こう」日本語盤誕生の秘話などを教えてくださった。
今回ベンEのバック・コーラスの一人で来ているマキシン・ブラウン(ヴェテランのR&Bシンガーで60年代にヒットがある)が一員であるワイルド・ウーマンという女性トリオが、かつて欧陽菲菲の「雨のNew York」という曲をカヴァーしたが、その作詞が湯川先生で、楽曲は大黒魔季だった。それにかかわったのが、今回のライヴでキーボードをプレイしていたトーヤさんということで、彼のことなどもご存知だった。今回のベンEのプロジェクトは、そのトーヤさんとワイルド・ウーマンを日本でマネージしている日本のプロダクションの原さんらが音頭を取ってベンEで何か日本語曲を歌う企画盤を作ろうとしたところから始まったようだ。それがユニバーサルからリリースされ、宣伝もうまく行き、テレビでの露出もあり、ビルボードのライヴは満員になった。
ピンク・マルティーニ。
アメリカに進出を試みたアーティストということで、今、アメリカのジャズ・シーンで大きな話題の由紀さおりさんがピンク・マルティーニとレコーディングした作品について話しが盛り上がった。
ホトダさんも、ピンク・マルティーニを以前からご存知で、今回のアルバムもしばらく前にタワー・レコードで買って楽しんでいるということ。湯川さんは、3年ほど前に由紀さんのプロデューサー、佐藤剛さんからその件で相談を受け、日本の曲をしっかり聴かせる作品を作ったらどう、とアドヴァイスをされていたという秘話を教えてくださった。なるほど、あの大ヒットの裏には、湯川さんのちょっとしたアドヴァイスもあったんですね。さすがです。
僕もこの件に関してはとても興味を持ちいろいろ読んだら、十数年前にピンク・マルティーニのリーダー、トーマス・ローダーデールが地元オレゴンの中古レコード店で、由紀さおりさんの1969年のデビュー作『夜明けのスキャット』のアナログ・アルバム(もちろん日本盤)を買ったところから始まっているというところがおもしろいと思った。トーマスはこの中から「タヤタン」を自身のジャズ・グループ、ピンク・マルティーニのアルバム『ヘイ、ユージーン!』の中の1曲としてレコーディング。そのアルバムがリリースされたのは2007年5月のこと。2009年6月、そのユーチューブの映像が日本の関係者によって発見され、そこからさらに物事が進んでいった。
湯川さんは、オレゴンにも行ったことがあり、その地はとても日本人好みの街で、そこで日本的なものが受けるのも行ってみるとすごくよくわかる、とおっしゃっている。それにしても、いろいろと紆余曲折あり、アルバムが完成し、ついにはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴというのは、すごい快挙だ。ニューヨークのオペラ・ハウスのようなところでも、なにやらやるらしい。由紀さんは来年3月に渋谷のジェイジー・ブラットでライヴをやるそうで、その選曲などの相談にも乗っているそうだが、今回のブレイクで、とてもあのキャパでは収まらなくなってしまい、おそらく即完になるだろうとのこと。
「上を向いて歩こう」については、佐藤剛さんの著作『上を向いて歩こう』がひじょうに詳しく、素晴らしい作品だが、湯川さんは同著作の元の原稿がスタジオ・ジブリの雑誌『熱風』に載っていた頃から愛読していて、そのために、『熱風』を定期購読するようになった、とおっしゃっている。そして、「上を向いて歩こう」が全米ナンバーワンになったことも含め、由紀さおりさんのCDが日本語で受けている点について、「結局、(アメリカで)日本語であれだけ話題になるってことは、歌詞じゃないのよねえ。歌い方とか、歌唱、声とか、サウンドなんでしょうね」と作詞家でもあられる湯川先生がそうおっしゃったのが、ひじょうに印象的だった。
日本語楽曲「上を向いて歩こう」が全米ナンバーワンになったメカニズムを解明したその佐藤剛さんが、由紀さおり&ピンク・マルティーニで、日本語で全米ジャズ・チャート・ナンバーワンを生み出した。佐藤さんはその鍵を掴んでいる。
■由紀さおり オフィシャル
http://www.emimusic.jp/pmsy1969/
■ 「上を向いて歩こう」佐藤剛著 いかにして、「上を向いて歩こう」が、全米・ナンバー1になったかを膨大な資料を元に明らかにしていく名ドキュメンタリー

上を向いて歩こう
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■ 由紀さおりの『1969』 全米ジャズチャートで1位

1969
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アルバム・ライナーノーツ(英語・日本語)
http://www.emimusic.jp/pmsy1969/html/liner_note.html
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