#「レディー・イズ・ア・トランプ」の時代背景~何を歌っているか

#「レディー・イズ・ア・トランプ」~トニー・ベネットとレディー・ガガ
【Lady Is A Tramp: Portrays 1930s High Society】
名曲物語。
85歳にして初めての全米ナンバーワン・アルバムを獲得したトニー・ベネット。デュエット企画アルバムとしては2枚目になる『デュエット 2』。ふだん、トニーはアルバムをわずか2-3日で作るが、今回の作品はあちこちに行ったために6ヶ月もかかった、という。スケジュールとデュエット相手のいる場所に出向くためにこれほどの時間がかかったそうだ。
このアルバムは今年12月頃発表されるグラミーで相当数ノミネートを得ると思う。もちろん主要3部門(「ソング」「レコード」「アルバム」)だけでなく、8つくらい行けるのではないか。最終的に3部門独占獲得も可能性十分だ。すでに15のグラミーを得ているトニーのその数がぐっと上乗せされる。
さて、そのアルバム・トップに収録されているのが、グリーン・ヘアのレディー・ガガとのデュエット曲「レディー・イズ・ア・トランプ」。二人とも実に楽しそうに歌っている。この曲の背景を少しご紹介してみよう。
この曲は1937年(昭和12年)に作曲家チーム、リチャード・ロジャーズ&ロレンツ・ハート(通称ロジャーズ&ハート)によって書かれたもの。ロジャーズ&ハートが制作していたミュージカル『ベイブズ・イン・アームス』の挿入歌として書かれた。当初、トミー・ドーシー、リナ・ホーンなどが録音したが、フランク・シナトラとエラ・ヒッツジェラルドが1950年代に録音。シナトラのものは映画『パル・ジョイ』でも使われた。その後も多数のカヴァーが録音されスタンダード・ナンバーとして現在までよく知られる作品となっている。
トランプ。
さて、「レディーはトランプ」というこの「トランプ」の訳し方が実に難しい。直訳的には、「あばずれ」「売春婦」「放浪者」「さすらいもの」などになるが、ここでは型にはまった鼻の高い「社交界」の雰囲気を揶揄する感じの「型にはまらない」「自由気ままな女」というニュアンスが近いのではないかと思う。1937年頃というと大恐慌から復活し、第二次世界大戦の前で、リッチな階層は人生の楽しみを謳歌していた。そのハイソには細かな決まりごとやルールがあってめんどくさかった。
この曲はそうした1930年代の金持ちハイ・ソサエティーにまぎれこんだ、ちょっと変わり者の個性的な女性を描いている。
She gets too hungry for dinner at eight (I’m starving)
「夜8時のディナーなんて、(遅すぎて)おなかがすきすぎる」(おなかペコペコ)
というのは、金持ちハイソでは遅く食事を始め、ゆっくり食べるのがよいとされていたから。それまでに、ちょっと飲んだり、何かしていたりして、8時からゆっくりディナーを始めるといったことになったらしい。元気いっぱいのトランプ(自由気ままな女)にとっては、夕食を8時まで待つなんてできない、というわけだ。
She loves the theater but she never comes late
「彼女はシアターが大好き。だけど、絶対に(ショー開演時刻には)遅れていかない」
これも、当時のハイソの連中は、ショーには行くが、遅れていくのがおしゃれだとされた。彼女はショーが好きなので、決して遅れて行かない。
I never bother with people that I hate
「嫌いな連中といても、イライラなんかしない、そういうハイソな鼻持ちならない連中と一緒にいても、別にアタシは関係ないわ、気にしないわよ」
That’s why this chick is a tramp (hahaha) 
「だから、この女は自由気ままな放蕩娘」
I love the free, fresh wind in my hair
「自由が好き、ゆったり髪の毛がそよぐ風が好き」
Life without care
Oh, I’m so broke
「(社交界のエチケットやマナー、ルールなど)細かいことを気にしないで生きていく人生、でも、それで私は一文無し」
It’s ok!
「おおっ、そうなのか、いいじゃないか」
I hate California, it’s crowded and damp
「カリフォルニアなんか大嫌い。人も多いし、やる気もなくなる」
That’s why the lady is a tramp (I’m a tramp!)
「だから、このレディーは自由奔放なじゃじゃ馬なんだ」
このレディーはとにかく型にはめられるのが嫌いで自由奔放に生きている。
また、さすがに2011年の録音というのが出ているのが次のライン。
Sometimes I go to Coney Island 
ガガ(時々コーニー・アイランドに行くわ)
Oh, the beach is divine 
トニー(あそこのビーチは最高だ)
And I love the Yankees 
ガガ(私、ヤンキーズが大好き)
Jeter is just fine 
トニー(ジーターは最高だ)
I follow Rogers & Hart
ガガ(わたし、ロジャーズ&ハート大好き)
She sings every line 
トニー(彼女は、[ロジャーズ&ハートの曲]全部歌えるんだ)
ガガが「私はヤンキーズ・ファン」というと、トニーがヤンキーズの強打者、「デレク・ジーターは最高だ」と応える。エラ・フィッツジェラルドのヴァージョンなどでは、ここがI follow Winchell、and read every line 私はウィンチェル(ジャーナリスト、作家)のファンで、全部読んでいるの、となっている。
デュエットで言うと、フランク・シナトラとエラ・フィッツジェラルドのものもなかなかの出来だ。
■ フランク・シナトラ&エラ・フィッツジェラルド 「レディ・イズ・ア・トランプ」

http://youtu.be/mQwRhMn6D2U
■ トニー・ベネット&レディー・ガガ 「レディー・イズ・ア・トランプ」

http://youtu.be/ZPAmDULCVrU
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The Lady Is A Tramp
Written by Rogers & Hart
Song by Tony Bennett & Lady Gaga
She gets too hungry for dinner at eight (I’m starving)
She loves the theater but she never comes late
I never bother with people that I hate
That’s why this chick is a tramp (hahaha)
She doesn’t like crap games with barons and earls
Won’t go to Harlem in ermine and pearls
And I definitely won’t dish our dirt with the rest of those girls
That’s why the lady is a tramp!
I love the free, fresh wind in my hair
Life without care
Oh, I’m so broke
It’s oh!
I hate California, it’s crowded and damp
That’s why the lady is a tramp (I’m a tramp!)
Sometimes I go to Coney Island
Oh, the beach is divine
And I love the Yankees
Jeter is just fine
I follow rounders and park
She sings every line
That’s why the lady is a tramp
I love the prize fight
That isn’t a fake (no fakes)
And I love to rowboat with you and your wife in Central Park Lake
She goes to the opera and stays wide awake (yes, I do)
That’s why this lady is a tramp
She likes the green (green) grass (grass) under her shoes
What can I lose?
‘Cause I got no dough! Oh, no?
I’m all alone when I’m doing my hair
That’s why the lady is a tramp!
Go!
I love your free, fresh,
I love your handkerchief in my hand
Life without care
But I’m so broke
That’s oh!
Hates California, it’s cold and it’s damp
That’s why the lady is a tramp!
That’s why this lady is a tramp!
That’s why the lady is a tramp!
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ENT>ARTISTS>Bennett, Tony
ENT>MUSIC>SONG>Lady Is A Tramp

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