◎ トータス松本・ア・カペラ・ライヴ@品川教会(パート1)

◎ トータス松本・ア・カペラ・ライヴ@品川教会(パート1)
(ネタばれになります。これからごらんになる方はご注意ください)
【Tortoise Matsumoto A Cappella Live At Church】
塊魂爆発(かいこんばくはつ)。
水曜日のカマサミ・コングのランチ・セッションに、ナイル・ロジャーズをお連れしたところで、そこに来ていたケイリブから、今、トータス松本のア・カペラ・ツアーをやっている、すばらしいのでぜひ見てほしいと声をかけられた。ア・カペラと聞けば何でもいく僕としてはこれは行かないわけにはいかない。しかも、トータス松本は、ブルーノートでサム・ムーアのときに飛び入りしたのを見たくらいなので、フルショーを一度見たいと思っていた。加えて、会場が、個人的な思い出もあり、ケイリブと木下航志くんのライヴをやった品川教会ということでさっそくかけつけた。
ふだんはもっと大きな会場でライヴをやる彼からすれば、この350人という収容人数は明らかに小さすぎで、お客さんがあふれる。入口近くで「チケット譲ってください」の紙を持ったファンの人も見かけた。
かつて2003年に『トラヴェラー』というソウル・カヴァー・アルバムを出したソウル・マン、トータス松本が声だけでステージを展開するア・カペラ・ライヴ。会場は神聖なる教会に超満員の観客。8割以上女性だ。自身のヒットやソウル・ヒットを7人のコーラスとトータス本人の計8人だけで歌う。この日は全10本中6本目。
日本で8人だけでア・カペラをやるのはかなり珍しい。もちろんゴスペル・クワイアーなどでは、歌声だけで何十人というパターンはあるが、ポピュラー・ミュージックでア・カペラだけで約2時間は新鮮だ。しかも、今回はライヴ後24時間以内に音源をミックスして、アイチューンズ(I-tunes)で発売するという試みもある。しばらく前に坂本龍一がライヴをユーストで中継し音源をすぐにアイチューンズにだしていたが、これもすばらしいアイデアだ。しかも、毎回のステージが翌日にはリリースされている。会場で感激した方はその感激が翌日には自分のものにできるのだ。音楽家とファンとのつながりは、確実に新しい次元に来ている。ダウンロードは下記へ。
http://itunes.apple.com/jp/artist/id74494386
ここのア・カペラ!! というところ。ライヴの日付があるので、希望のものを選ぶ。すでに6月3日のものもアップされている。30秒程度の試聴も可能。
ライヴ→ユースト→アイチューンズ、あるいはツイッター、フェースブック、アーティスト・アプリなどアーティストをめぐる環境は10年前では想像だにできないほど激変している。それを軸にどんどんと新しいアーティストとファンのふれあいの形ができる。しかし、どれほどデジタルが広まっても、音楽家の本質的な基本はライヴにあることに変わりはない。ライヴが出来てこその新技術の使用と言える。
このトータス松本のライヴは、もちろん、リアルな音楽ができるアーティストのリアルなライヴだ。そして、アカペラを見ていつも思うことだが、そのたびに、改めて人間の力、可能性、特に声の可能性の無限さを感じる。
今回は男声3人、女声4人のコーラスにトータス本人が歌う。すべてはこの8人の声だけ。基本、バックが3から4パートハーモニーをつけ、それにあわせトータス本人がメイン・ヴォーカルを歌う。このトータスの声が、実に力強くソウルフルだ。教会という会場で、声の力は輝きを圧倒的に増す。そして、7人のコーラスを従えて8人の声の塊(かたまり)になったときに、まさにソウル(魂)が爆発する。Soul Explosionだ。
メンバーが会場後方から一人ずつ歩いてステージに進み、ポジションについたところで、おもむろに今夜のスターがやはり後方通路から客席を通って、ステージ中央に。「バンザイ~好きでよかった」からアカペラ・ショーのスタートだ。
メンバーには「ソウル・サーチン」イヴェントでおなじみのケイリブ、ユリ、オリヴィア、ガッツ(中澤信栄)まで。今回の音楽ディレクターはユリで、彼女が中心となってコーラスを考えたという。個人的には、ケイリブがベース・ヴォーカルを担当したところがひじょうに新鮮だった。僕もケイリブにベースをやってもらおうとは今まで思いもつかなかった。こういうサプライズはとてもいい。ミュージシャンやシンガーは、常に、周囲の人間がその人に枠をはめたり決め付けたりする以上のことができるのだ。クリエイティヴなことにリミットをかけてはいけないとつくづく思う。
それにしても、観客は1曲目から総立ちになって、手を突き上げ、腕を揺らし、コール&レスポンスし、歌う。たぶん、楽曲自体にポジティヴな魅力があるから、元気になるのだろう。バックコーラスではガッツの声が目立っていた。
途中のMCもさすがに大阪出身だけにおもしろい。アンコールで牧師風衣装に身を包み、両腕でTの字を作り、ジーザスならぬ「Tザス」です、には受けた。そして、観客もそうだが、やっている本人たちが一番楽しそうに歌っているのが素晴らしい。
最後に「ガッツだぜ」を歌い終えて、客電が点くと、すぐにCDでサム・クックの「ユー・センド・ミー」が流れた。送り出しには最高の選曲だ。
(ライヴ後、楽屋でトータスさん、ケイリブ、ユリさんらに会った。そのときの話などを明日以降に)
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僕と品川教会の接点。ピアニスト、妹尾さんのライヴで足を運んで
■トータス松本 究極のソウル・カヴァー・アルバム『トラヴェラー』

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■ メンバー
トータス松本 Tortoise Matsumoto
ユリ Yuri
ケイリブ・ジェームス Kaleb James
オリヴィア・バレル Olivia Burrell
中澤信栄 Nakazawa Nobuyoshi
堀江小綾 Horie Saya
佳世 Kayo
ハピネス徳永 Happiness Tokunaga
■セットリスト トータス松本、品川教会、2011年6月3日(金)
Setlist : Tortoise Matsumoto @ Shinagawa Church, June 3rd, 2011
Show started 18:40
01. バンザイ~好きでよかった
02. いつもの笑顔で
03. 愛がなくちゃ
04. You’re All I Need To Get By~僕は海じゃない
> メンバー紹介
05. Wonderful World [Sam Cooke]
06. エビデイ
07. 生まれかわっても
08. 明星
09. クリア!
10. ハッピー・アワー
Encore. アメージング・グレイス[Traditional]
Encore. ウィ・アー・ザ・ワールド [USA For Africa]
Encore. ガッツだぜ
CD You Send Me (Sam Cooke)
Show ended 20:30
(2011年6月3日金曜、東京:キリスト品川教会 グローリア・チャペル、トータス松本・アカペラ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Tortoise Matsumoto
2011-74

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