◇ジョン・レジェンド新作『ウェイク・アップ』は彼の最高傑作 (パート3)

◇ジョン・レジェンド新作『ウェイク・アップ』は彼の最高傑作 (パート3)
【John Legend’s “Wake Up”】
カヴァー。
ジョン・レジェンドの最新作『ウェイク・アップ』は1曲を除いてすべてカヴァー。それにしても、よくこれだけ曲を選曲したものだ。いわゆる誰でも知ってる大ヒットらしい大ヒットは、「ウェイク・アップ・エヴリバディー」「リトル・ゲットー・ボーイ」、それに、ビル・ウィザースの「アイ・キャント・ライト…」くらい。
もちろん、サンプリングなどで知られている部分はあるが、単なるカヴァー・アルバムの枠に収まらない。しかも、曲の内容、メッセージが強烈なメッセージを放つ。それが70年代に書かれた作品であれ、2010年にもまるで通用するから、すごい。それだけこれらの楽曲の普遍性があるということでもあり、アメリカ自身がまったく進化していないということの査証でもある。こういう楽曲を歌詞をじっくり読みながら聴いていると、音楽の持つ力というものを感じる。
このアルバムを通して聴いていると、その反戦メッセージから、今、アメリカは戦争中なんだなあ、ということを痛切に感じる。アメリカ本土では文字通りの戦争は起こっていないが、アメリカという国が戦争をどこか離れた地で行っている。いや、911は戦争だったか。また、アメリカ本土では、貧富の差、ドラッグ戦争、教育の荒廃などあらゆる日常レヴェルにおける戦争が起こっている。この閉塞感のある現実世界を、「チェンジ」しなければならない。ジョン・レジェンドやルーツのクエストラヴらの思いはこのアルバムに思い切り込められている。
簡単にオリジナルなどをご紹介しよう。
『ウェイク・アップ』ジョン・レジェンド&ルーツ
1. ハード・タイムズ featuring ブラック・ソート Hard Times
1971年のベイビー・ヒューイ&ベイビーシッターズの作品。カーティス・メイフィールドが書いた。カーティスのレーベル、カートムからこのベイビー・ヒューイのヴァージョンはリリースされた。
2. コンペアード・トゥ・ホワット Compared To What
自らシンガー・ソングライターとして活躍するユージーン・マクダニエルズの作品。最初にロバータ・フラックが1969年の『ファースト・テイク』(1969年6月20日リリース)でレコーディング。レス・マッキャンはロバータをアトランティックにひっぱってきた人物で、彼は1969年6月21日にスイスのモントルー・ジャズ・フェスティヴァルで録音したライヴ・アルバムで演奏。これがレスとサックス奏者エディー・ハリスのアルバム『スイス・ムーヴメント』となり、1969年12月にリリースされ、1970年にヒットした。ヴェトナム戦争に対する反戦歌。
3. ウェイク・アップ・エヴリバディ Wake Up Everybody featuring コモン&メラニー・フィオナ
1975年、ジョン・ホワイトヘッド、ジーン・マクファーデン、ヴィクター・カースターフェンが書き、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツで大ヒットした作品。
4. アワ・ジェネレーション(ザ・ホープ・オブ・ザ・ワールド) Our Generation featuring CLスムース
チェス、スタックスに作品を残してきたアーニー・ハインズの1972年作品。
5. リトル・ゲットー・ボーイ (プレリュード) Little Ghetto Boy (Prelude) featuring マリク・ユセフ
6. リトル・ゲット・ボーイ Little Ghetto Boy featuring ブラック・ソート
1970年代に大活躍したシンガー・ソングライター、ダニー・ハサウェイの代表的作品。1972年の作品で、特に『ライヴ』盤におけるヴァージョンが名高い。
7. ハング・オン・イン・ゼア Hang On In There
ジョニー・ブリストルの同名曲とは違うもの。こちらは、1972年、ミシシッピー州出身のマーク・ジェームス・ガーランドの作品。
8. ヒューマニティ(ラヴ・ザ・ウェイ・イット・シュッド・ビー) Humanity
ジャマイカのプリンス・リンカーン・トンプソンのロイヤル・ラッセズの1979年作品。
9. ホーリー・ホーリー Wholy Holy
マーヴィン・ゲイの1971年のアルバム『ホワッツ・ゴーイング・オン』収録曲。
10. アイ・キャント・ライト・レフト・ハンデッド I Can’t Write Left Handed
素晴らしきシンガー・ソングライター、ビル・ウィザースの1973年作品。彼の『ライヴ・アット・カーネギー・ホール』に収録。これもヴェトナム戦争反戦歌。右腕を撃たれ、字が書けなくなった兵士が、母親に宛てる手紙を書いてくれという歌。その手紙で、弟を戦争に行かせるな、と書く。ジョンはこのエモーショナルな作品の録音中、涙を流したという。11分を超す超大作。
11. アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー・ハウ・イット・ウッド・フィール・トゥ・ビー・フリー I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free
シンガー・ソングライター、ニーナ・シモンの1967年作品。公民権運動のアンセム。
12. シャイン Shine
13. シャイン (ウェイティング・フォー・スーパーマン・ヴァージョン)Shine (ボーナス・トラック)
ジョン・レジェンドのオリジナル。2010年の映画『ウェイティン・フォー・スーパーマン』のテーマになっている。
14. ウェイク・アップ・エヴリバディ (ライヴ・イン・スタジオ・パフォーマンス) (ボーナス・トラック) Wake Up Everybody
この中で、ビル・ウィザース作品を一番最初にレコーディングしたという。ただ、そのヴァージョン以来、ライヴで演奏しているうちにどんどん進化した。
ジョン・レジェンドの過去の来日ライヴ関連記事を。
■ ジョン・レジェンド過去来日ライヴ関連記事
ジョン・レジェンドはプロモーションも含めて過去4回来日。そのライヴ評すべて。
March 13, 2008
John Legend Live@ Blue Note
http://blog.soulsearchin.com/archives/002380.html
4回目の来日ライヴ評
ジョン・レジェンド(毎日新聞)
http://mainichi.jp/enta/music/news/20080221dde012070032000c.html
January 12, 2007
John Legend Live: Songwriters Showcase
http://blog.soulsearchin.com/archives/001512.html
3回目ライヴ評
May 30, 2006
John Legend: MTV Pre-Show
http://blog.soulsearchin.com/archives/001044.html
2回目の来日ライヴ評
2005/03/18 (Fri)
John Legend: New Legend Of R&B
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200503/diary20050318.html
ジョン・レジェンドの紹介
May 08, 2005
After The Rain: Ai & John Legend Sing
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_05_08.html
初来日ライヴ評
May 09, 2005
John Legend: New Preacher Of Soul Focused On Passage Of Soul
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200505/2005_05_09.html
初来日ライヴ評
ENT>MUSIC>ARTIST>Legend, John

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One Response to ◇ジョン・レジェンド新作『ウェイク・アップ』は彼の最高傑作 (パート3)

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    すごく濃い選曲ですね。
    長年のブラックミュージックファンとしても脱帽です。
    またそれをすべて『カバー』されてる吉岡師匠にも最敬礼です。
    師匠には、なつかしいNHKfmでのプロデューサー特集『ベビーフェイス~ジャムルイス』以来お世話になっております。
    あの頃僕は中学生でした。
    1996年、R&Bがいちばんアツかった時期と記憶しております。
    しばらくブラックと離れてましたが、再び触れてみようという気になりました。
    今後ともよろしくお願いします。