◎ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(パート2)~ヒスパニックとヒップホップの融合

◎ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(パート2)~ヒスパニックとヒップホップの融合
(昨日からの続き)
【Musical “In The Heights”(Part 2): Fusion of Hispanic And Hip Hop】
融合。
初日は、レッドカーペットも用意されていたが、出演者・製作者・スタッフなどが集まった軽いパーティーが終演後にあった。
『イン・ザ・ハイツ』での出演者はみなこれまでにブロードウェイ・ミュージカルに出演してきているヴェテランたちだ。パンフレットのプロフィールを見ると、みな過去何本もミュージカル作品に出演している。さすがに層が厚い。何人かは日本でも人気を集めた『レント』に出演、今回のヴァネッサ役のレクシー・ローソンや、カーラ役を演じたジェニー・リス・パディアも出ていた。レクシーは去年の『レント』で来日もしていた。
今回の『イン・ザ・ハイツ』はニューヨークで現在行われているカンパニーと別働隊。ヒットしたミュージカルなどは、ニューヨークでやるチーム、ツアーにでるチームなど複数あるのが一般的だ。しかし、メンバーはもちろん、ニューヨーク・カンパニーに負けず劣らずの厳しいオーディションをくぐりぬけて合格した精鋭ばかりだ。アンサンブルのデイヴィッド・クーパーは、何度も何度もオーディションを受け、そして毎回合格し、次のステップに進み最終的に本当に合格するまでに8ヶ月以上かかった、という。もちろんその間、必死で、合格したことを誰に最初に知らせたかと尋ねたら、「マイ・マム(母親)だ」と嬉しそうに語った。
これだけ大規模で、長期間(といっても2週間超)の演目となると、いわゆるアンダースタディー(代役)が何人も来ている。彼らはメイン・キャストが怪我などをしたとき、急遽ピンチヒッターを務める。しかし、12人全キャストすべてに代役を連れてくるわけにはならないので、代役たちは一人何役もできるようにスタンバイしている。彼らはアンサンブルという踊ったり歌ったりするメンバーとして、そのアンデースタディーを兼ねる。Aというアンダースタディーは、メインのX役、Y役、Z役のセリフや踊りを覚えておかなければならない。彼らは毎日の舞台を、舞台で見たり、ステージにでない者は舞台袖、あるいは楽屋などのモニターで見て、ショーの内容を逐一フォローし、いつでも出演できるような態勢でいるのだ。
主役級のウスナビ(その語源がひじょうにおもしろく、それが明かされたときには、観客から大きな笑いが巻き起こった)を演じるジョセフ・モラレスは、なんとハワイ育ち。しかも、日本人の血が4分の1入ってるクオーターだという。確かにそばでみると、日本人っぽいところがある。
一方、ニーナ役のアリエル・ジェイコブスは、お母さんがフィリピン系。アリエルの兄ジェフは、英語の先生で日本・東京在住。妹の晴れ姿を初めて見た、という。彼らの両親もこの日は観劇していた。ジェフもハワイ生まれということで、ウスナビ君と同郷ということになった。
ヴァネッサ役のレクシーは、昨年『レント』で来日。日本はみな人がナイスで大好き、という。
クラウディア役のエリース・サントラは、プエルトリコ出身ニューヨーク在住。『イン・ザ・ハイツ』のブロードウェイ版にも参加していた。ブロードウェイではダニエラ役立ったが、ここではクラウディアという年齢の高い役なので、グレイのかつらをつけて円熟した演技を見せる。「歌うこと、踊ることが大好きなんで、ミュージカルをやってるのよ。でも、もう若くないから、あんまり激しいダンスはだめね。ニューヨーク・カンパニーでは、ダニエラ役もやってたんだけど、(年齢がおばあちゃんの)アブエラ役のほうがいいわね。そんなに踊らなくてすむから。(笑)」という。
メンバーの中には、スペイン語を話すキャストが多い。そこで、このアフター・パーティーで、通訳の人が日本人スタッフのあいさつをスペイン語に訳したところ、大変な盛り上がりになった。通訳は英語で訳し、さらにスペイン語で訳す。英語のとき以上に、スペイン語での訳のほうが歓声の度合いが2倍くらい違った。ラテン系はさすが、熱いのかも。(笑)
ところで、今回のミュージカル、音楽を演奏するバンド・メンバーが客席からは見えないが、ステージのまん前の真下のところにあるオーケストラ・ピットにいる。舞台が終わって最後に紹介され立ち上がる。また、ミュージカル演者たちのマイクがどこにあるか、不思議に思われなかっただろうか。いわゆるピンマイクを胸のところにでも仕込んでいるのかと思ってよく見てみたが、なかった。ステージの床にマイクを置いてあるのかとも思ったが、やはりなし。そこでダニエラ役のイザベルに聞いたところ、なんとマイクは髪の毛の中に仕込んでいるという。そこから背中にコードをはわせ、お尻のポケットあたりに無線機をいれ、ワイアレスで飛ばす。ちなみにイアーモニターは使っていないそうだ。
アフター・パーティーが終わると、メンバーは何人かごとに、地下鉄のホームに向かった。そうか、電車移動なんだ。
この作品は、間違いなく映画もヒットしそうだ。映画はケニー・オルテガ監督で来年製作される。9月5日まで公演があるので、歌と踊りに興味ある方はぜひどうぞ。
■ 『イン・ザ・ハイツ』オフィシャルウェッブ
2010年8月20日から9月5日まで
http://www.intheheights.jp/
■ サントラはすでにグラミー賞を受賞(まだDVDはなし)

イン・ザ・ハイツ
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■ メンバー
Character — National Tour Cast
Graffiti Pete -Luis Lopez
Usnavi – Joseph Morales
Piragua Guy – David Baida
Abuela Claudia -Elise Santora
Carla – Genny Lis Padilla
Daniela – Isabel Santiago
Kevin – Daniel Bolero
Camila – Natalie Toro
Sonny – Christopher Chatman
Benny – Rogelio Douglas Jr.
Vanessa – Lexi Lawson
Nina – Arielle Jacobs
Ensemble : Sandy Alvarez, David Baida, Christina Black, Natalie Caruncho, Oscar Cheda, Dewitt Cooper III, Wilkie Ferguson, Rayanne Gonzalez, Rebecca Kritzer, April Ortiz, Joel Perez, Carlos Salazar
Music and lyrics by Lin-Manuel Miranda
Conceived by Lin-Manuel Miranda
Directed by Thomas Kail
(2010年8月20日金曜、国際フォーラムC、ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』)
ENT>MUSIC>LIVE>In The Heights
2010-

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