⊿黒沢薫ソロ・ライヴ~スパイス・フォー・ラヴァーズ~全ての香辛料は愛に通ず

⊿黒沢薫ソロ・ライヴ~スパイス・フォー・ラヴァーズ~全ての香辛料は愛に通ず
【Kurosawa Kaoru Solo Live: Spice For Lovers】
愛。
ゴスペラーズのリード・シンガー、フロントマンの1人黒沢薫のソロ・ライヴ。2005年10月に初ソロ・ライヴを行って以来、2006年3月品川ステラボール、2007年9月目黒ブルースアレイ、2008年9月六本木スイートベイジル、2009年9月福岡ライヴに続いての今回はミニ・ツアー。広島、大阪、名古屋を回って東京、さらに札幌まで。タイトルは、「Spice For Lovers~全ての香辛料は愛に通ず」。
東京は、六本木ミッドタウン内のビルボードライブ東京。普段ゴスペラーズとしては、武道館を超満員にするアーティスト・パワーを持っているだけに、ソロ・ライヴといえども瞬く間にチケットは売り切れたという。こうした小さなところでのライヴの魅力は、アーティストと圧倒的に近いところで、そのライヴを共有できる点にある。ライヴが始まる前に、スティーヴィー・ワンダーのCDが静かに流れている。
ソイソウルのラッパー、ケイウォンが司会で登場し、ジェームス・ブラウン・バンドの名司会者ダニー・レイの如く軽妙に「カオル・クロサワー」を紹介してショーはスタート。バンドは、キーボード(バンマス)、ギター、ベース、ドラムス、コーラス2人。松本圭司(キーボード)がバンドをひじょうによくまとめている。観客は98パーセントまで女性。
「(北山)陽ちゃんや、(安岡)優のチケットが取れなかったけど、これは取れたんで、とりあえず、ソロは全部抑えておこうかな、なんていう人もいるかもしれないけれど(笑)、今日は、そんなことすべて(僕が)忘れさせてあげるよ」(観客から「きゃ~~」) MCも実にしまりよく、面白おかしくまとまって、次々と曲が歌われる。メドレーなどで一部だけ歌われたものも含めると17曲にもなる。
バンドはかなり固まっており、黒沢本人も気持ちよさそうに歌う。全体的に、本人がこよなく愛するソウル/R&Bのモードが今までの中で一番強く感じられた。今年1月に亡くなったソウル・シンガー、テディー・ペンダーグラスの「ターン・オフ・ザ・ライツ」から、新曲を経て、もうひとりのセクシー・シンガー、ジョーの曲をもってきたり。途中でジェームス・ブラウンのようにマイクスタンドを蹴るパフォーマンスを見せたり。
ジョーに関しては、2007年にビルボードライブが出来て初めて来たときに見たのがジョーで、そのかっこよさにしびれ、いつか自分もここでやってみたい、と思うようになり、その夢が実現したのがとても嬉しいとも言っていた。
もうひとつ、今回はマイケル・ジャクソンの陰があちこちに。黒沢も映画『ディス・イズ・イット』は映画館でも、またDVDも何度も何度も繰り返し見て、すっかり影響を受けたことを隠さない。余興で「ビリー・ジーン」のイントロで踊りだしたり、しかし、「ビリー・ジーン」のドラムスを叩き出したドラマーを一瞬怒るも、「怒ってないよ、怒ってない、愛だから…」と『ディス・イズ・イット』ネタをだしたり。そこから、マルとのデュエットで「アイ・ジャスト・キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」(マイケルとサイーダ・ギャレットのデュエット)を聴かせたり。このマルとのデュエットは本当に素晴らしかった。思えば、黒沢&マルのデュエットは、2006年7月の『ソウル・サーチン』のイヴェントでルーサーの「ソー・アメージング」を歌ってもらったことから始まったので、僕個人としても感無量だった。
今回、黒沢は今までになく随分とステージで動き、踊っている。これは、自分のショーをよりソウルフルなショーにしたいと思い、動き、ダンス、ステップなどをソウル・ステップの大御所、マイケル鶴岡氏(ソウル・ユニット「キング・オブ・ソウル」の一員)に個人レッスンを頼んだ成果だという。マイケルは、ゴスペラーズの「1,2,3,for 5」の振り付けをした振り付け師でもある。ジョーは「自分は男だけど、抱かれてもいいと思った(笑)」ほど、惚れこんだと話す。
今回のライヴのテーマは、ツアータイトルにもあるように「愛」だ。以前から大好きだったスティーヴィーの「ラヴズ・イン・ニード・オブ・ラヴ・トゥデイ」のメッセージと同じ趣旨を、彼は自分の言葉で語りながら、説明してこの曲を歌った。しかも、わかりやすく、歌詞の一部を「今できること、すべて愛することさ。~ 今すぐはじめよう」と日本語にして歌い、サビ部分を観客に一緒に歌わせる。この楽曲は、「世界には憎しみ、貧困などが蔓延して大変なことになっている。今すぐに立ち上がらなければならない。今こそ、愛が愛を必要としている」という熱いメッセージを持った作品。スティーヴィーの持つ普遍的なメッセージは、地球上から戦争がなくならない2010年の今でも有効なメッセージになっている。
最後、アンコールで面白い趣向が登場。なんと、2月にヴァケーションでハワイに行ったときに、ご縁からウクレレをもらい、じゃあ、4月のソロでやろう、と一生懸命練習していた曲を歌いだした。山下達郎さんの「ドーナッツ・ソング」だ。これをウクレレを弾きながら、声色をマネ、途中からバンドも参加。しかも、ケイウォンの華麗なラップ入り。これはおもしろいアイデアだ。
MCもよく練られ、そして、もちろん歌は随所に黒沢節を聴かせる。回数を重ねるごとに、ソロ・ライヴの形がいい形に固まってきている。
本編、アンコール後、拍手の中、再びスティーヴィー・ワンダーの「ラヴズ・イン・ニード・オブ・ラヴ・トゥデイ」が小さく流れた。マイケルも「オール・フォー・ラヴ(すべて愛のために)」といい、スティーヴィーも「愛が愛を必要」という。今回の黒沢薫ソロ・ライヴもその路線と同じ「愛」をテーマにしていた。ファンもその愛に包まれたことだろう。
■ スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』(「ラヴズ・イン・…」収録の傑作アルバム)

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■ 黒沢薫ソロアルバム『Love Anthem』(2005年10月)

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■ 過去記事 黒沢薫ソロ関連記事
2008年09月16日(火)
黒沢薫ライヴ~ヴァーサタイルなソング・スタイリストを目指す
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10139851807.html
September 07, 2007
Kurosawa Kaoru: You Are In The Circle Of Destiny
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200709/2007_09_07.html
April 06, 2006
Kurosawa Kaoru Live “Love Unlimited”
http://blog.soulsearchin.com/archives/000934.html
March 24, 2006
Kurosawa Kaoru Solo Live; Knowing Main Ingredients Of Group
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_03_24.html
■ メンバー
黒沢 薫LIVE TOUR 2010 “Spice for Lovers~全ての香辛料は愛に通ず~ ”
松本圭司(Pf&Key)/田中栄二(Dr)/笹井”BJ”克彦(Ba)/太田貴之(Gt)/MARU(Cho)/YUKO(Cho) K-WON a.k.a k-on (Rap/MC)
■セットリスト 黒沢薫 ビルボードライブ東京、2010年4月9日(金)
Setlist : Kurosawa Kaoru, Billboard Live Tokyo, April 9th, 2010
[ ] denotes original artists
show started 21:35
01. 流星
02. Keep It Going On [三浦大地に提供]
03. Even If [平井堅]
04. ウイスキーが、お好きでしょ [石川さゆり]
05. Medley: (5 – 8) Turn Off The Lights [Teddy Pendergrass]
06. Maybe Baby [New Song]~ Summer Breeze (Intro only)[Isley Brothers]
07. All The Things [Joe]
08. 電話のむこう
09. Billie Jean (Intro)
10. I Just Can’t Stop Loving You (Duet With Maru) [Michael Jackson]
11. Medley: (11-13 ) Late-Blooming
12. Love A Flava
13. Groovin’
14. Love’s In Need Of Love Today [Stevie Wonder]
15. After The Rain
Enc.1. ドーナツ・ソング [山下達郎]
Enc.2. 遠い約束
show ended 23:15
(ファーストセットは、上記3「Even If」がなし)
(2010年4月9日金曜、ビルボードライブ東京=黒沢薫ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Kurosawa, Kaoru
2010-57

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2 Responses to ⊿黒沢薫ソロ・ライヴ~スパイス・フォー・ラヴァーズ~全ての香辛料は愛に通ず

  1. sakko says:

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    詳細をありがとうございます。
    今回、楽しみにしていたにもかかわらず、日程的に参加することができなかったので、
    吉岡先生ならいつか必ず書いてくださる、と心待ちにしておりました。
    楽曲を目にし、大好きな歌の数々、想像しながら頬が揺るみっぱなしです。
    あぁ、行きたかった…(泣)
    本当にどうもありがとうございました m(__)m

  2. SECRET: 0
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    ビルボードで黒澤さんの歌声を聴けるのは
    なんとも贅沢ですね~。
    黒澤さんのJOE聴きたいです。