○『アイ・ウォント・ユー・バック』のイントロ・ピアノは、ジョー・サンプルだった

○『アイ・ウォント・ユー・バック』のイントロ・ピアノは、ジョー・サンプルだった
【Intro of “I Want You Back” Is Joe Sample】
ワンテイク。
ジョー・サンプルが参加したウィリー・ネルソンのアルバム『アメリカン・クラシック(アメリカの歌)』が流れている。
「お、ウィリーだな、ヨランダ、このCDまだ来てないよね」とジョーが言う。 「そうね、まだ送ってもらってないわね。ファイナル・トラックのCDRしか聴いてないわ」 ヨランダはジョーの奥さんだ。
ジョーにモノクロのジャケットを見せた。ジョー夫妻の元には、まだ完成したジャケット付きのパッケージが届いていなかった。「ウィリーのマネージャーに言わないと(笑)」
ジョーによれば、このアルバムのレコーディングはニューヨークで昨年12月に行われた。つい最近、シカゴでPBS(公共放送)でのライヴの話があったが、どうやらキャンセルされたらしい。レコーディングではほとんどの曲を、バンド・メンバーがワンテイク(一度の録音)で仕上げている、という。すでにアレンジが譜面に起こされていて、スタジオに入り、ウィリーとともに「せいの」で始めて、1曲終わると、それで終わりだ。
「レコーディングは早いよ。1日4-5曲(録音)できる。ま、ただ曲によって、ギターが弾きすぎたりしたのはあって、それはやり直したのがある。ギターのアンソニー(・ウィルソン)は、ものすごくいいギタリストだが、時に(ウィリーの歌を)聴かないことがある。たとえば、ウィリーがもっとゆっくりのテンポじゃないと歌えない、といってもおかまいなしにガンガン弾いてしまったりね」とジョー。
ジョー、ヨランダと島津山の「フランクリン・アヴェニュー」にランチをしにやってきた。
ヨランダは、シェフお勧めのマッシュルーム・バーガーを食べている。ジョーはチリ・バーガーだ。
イントロ。
「ちょうど、この前、マイケル・ジャクソンの映画『ディス・イズ・イット』を見たんです。見ましたか?」と僕が聞くと、「いや、まだだ。見に行こうか」とジョーがヨランダに言う。「リハーサルの模様、どのようにステージを作っていくか、ダンサーやシンガー、ミュージシャンたちへの指示の出し方など、とても興味深く勉強になりました」と僕が説明した。
「今まで、マイケルの曲をやったことある?」と僕は尋ねた。それは、マイケル楽曲をジョー風にカヴァーしてやったことがあるか、という意味での質問だった。彼から返ってきたのは、「ああ、たしか、『アイ・ウォント・ユー・バック』と『ABC』かな」という答え。「トリオとかで、あるいはバンドで?」 「いや、ジャクソン5のレコードで弾いてるんだよ」 「えええええっっっ!!!???」
モータウンのレコードは1973-4年くらいまで、ほとんどミュージシャンのクレジットを載せていない。マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイング・オン』(1971年)はマーヴィンのたっての願いでミュージシャン・クレジットを載せた。だが他のセッションはそれほどミュージシャンの名前が出ていない。
自宅に戻り、ジャクソン5のいろいろなCDなどをチェックするが、やはりミュージシャン・クレジットは一切でていない。
「『アイ・ウォント・ユー・バック』のイントロのタララララというピアノ、あれ、僕だと思うよ。もう1曲くらいやっていたかな。40年くらい前だろう。あんまり覚えてないんだ。(笑) あと、たぶん『ABC』も」
彼はしばらくすっかりそのことを忘れていたという。だが、それらの楽曲が映画などで使われると、使用料がジョーの元に来るようになって、それらの曲で自分がプレイをしていたことを知った、いや、思い出した、というのだ。
ジョーはチリ&チーズのハンバーガーをナイフとフォークを上手に使いながら、実にうまく食べる。「これは、ものすごくおいしいなあ」と言ってシェフの幸三さんに向かって親指を上げる。「さて、モータウンにスージーという女性がいて、彼女があらゆるデータを集めて、(楽曲のクレジットを)整理してるんだ。誰がどの楽器をどの曲でプレイしているかを、事細かに調べていてね。映画で使われると、ミュージシャンにちゃんとお金がわたるようにしているんだよ」
しかし、ジョーはクインシーがてがけた『オフ・ザ・ウォール』を含め、それ以降のクインシー・セッションではほとんどピアノは弾いていない。グレッグ・フィリンゲインズがてがけている。なので、他のマイケル楽曲では彼のプレイは聴けない。
ジョーは1958年にテキサスからロスアンジェルスに出てきて、1999年にテキサスに戻るまで41年ロスに住んでいた。ちょうど彼が住んでいた家は、フランクリン・アヴェニューから1本入った道にあったという。今はその家は息子のニックが住んでいる。
彼がロスにいた41年間、それこそ星の数ほどのレコーディング・セッションに参加している。彼のひょんなところから出てくる昔話には引きこまれずにはいられない。
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■ ジョー・サンプルが参加した最新作。ウィリー・ネルソンの『アメリカン・クラシック』(来年のグラミー、少なくともノミネートはまちがいありません。ジョーのピアノが冴えわたります)

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ENT>ARTIST>Sample, Joe

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One Response to ○『アイ・ウォント・ユー・バック』のイントロ・ピアノは、ジョー・サンプルだった

  1. sayumi says:

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    目ん玉飛び出ました。
    その部分が好きで自分で変換して着うたにしてました。