△加藤和彦さん死去~人生の美学と無常

△加藤和彦さん死去~人生の美学と無常
【Kazuhiko Kato Dies At 62】
美学。
加藤和彦さんが2009年10月16日、軽井沢のホテルで亡くなった。62歳。死因は自殺。
加藤さんは僕は個人的には面識はないが、お見かけしたことは何度かある。飯倉のキャンティあたりだったと記憶している。インテリでおしゃれで、なんでもかっこいい、という雰囲気だ。個人的に面識はないのだが、ここ1-2日、なぜ自殺なんかしたんだろう、と頭の中が混乱している。
今回の死をきっかけに彼の足跡がさまざまなメディアで紹介されていた。で、ふと思ったのが、なんとなくジョン・レノンっぽいなあ、ということ。元々アングラから出発し、今で言うオルタナティヴ・カルチャー(傍流・対抗文化、カウンター・カルチャー)のメインストリーム(!)を堂々と歩んで来た。前にやったことを繰り返すのが嫌いで、革新的で、それで独特の美学を持っている。
当初新聞などの報道で軽井沢のホテルと報道されていて、「ホテルってどこだろう」と友人に訊かれたので、すぐに「万平じゃないの」と答えた。それも僕の中で加藤さんとジョン・レノンあたりがどこかで無意識につながっている理由かもしれない。
飯倉キャンティでよく見かけた伊丹十三さんも別の理由で自殺している。インテリで独自の美学を持っていた2人にも、理由はないが僕はなぜかかぶるものを感じる。
1967年、深夜放送(僕は「オールナイト・ニッポン」)で聴いた「帰ってきたヨッパライ」は強烈だった。当時父親が英語のレッスン用に買ったオープンリールのテープレコーダーを勝手に借りて、録音した。それから自分で自分の声を録音して、テープの再生速度を倍にして聴いて、同じような声になるのが、本当におもしろかった。
アーティストとしてやることがなくなった、というコメントが紹介されているが、人間を辞めるのではなく、ただアーティストを辞めることはできないのかと思う。スポーツ選手は、自分の限界を知って引退するが、まさかそれで自殺はしない。行き詰ったら、アーティストも引退して、その後は悠々自適に暮らせばいいのではないだろうか。でも、出来ないんだろうなあ…。才能がある人ほど。才能がある人が自殺をするのって「悲しくてやりきれない」。なによりも、もったいないと思う。「オラは死んじまっただ~やっと天国の門についただ~」と歌う「帰ってきたヨッパライ」は、最後は生き返るのだが、加藤さんは生き返らない。
自殺が、彼にとっての最後の美学だったのだろうか。僕にはそうは思えない。そこまで思考できずに、煮詰まって、それでもある程度考えて、自ら決断したのだろう。これはかなわぬが、もし加藤さんに何か言えるとしたら、「それ(自殺)は、あなたの美学にあっていますか」と問いたい。
そして、これから自殺を考える人にはこう言いたい。「あなたを必要としていると思う人が、この世にたった一人でもいる限り、あなたは自ら死んではいけない」 それでも人間というのは、その生の中にあらゆる矛盾を孕(はら)んでいるものだ。人生無常なり。
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OBITUARY>Kato, Kazuhiko (March 21, 1947 – October 16,2009, 62 year-old)

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2 Responses to △加藤和彦さん死去~人生の美学と無常

  1. miyama says:

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    才能ある人は、深く深く考えて思いつめていってしまいがちなのでしょうね。でも、それを性格や職業の問題として片付けてしまうのは、きっと違いますね。
    意見もせず否定もせず、自分の想いをただただ真剣に聞いてくれる人がいる。そういった経験をしてきている。
    そういう人はきっと自殺しないだろうな、と思ってしまうのです。そういう人は自分の能力や業績の有無に関係ないところに、自分の価値を見出している人だと思うから。
    全く知らない人でも、これから会うことも決してない人でも、生きていてほしいですね。可能性が1パーセントでもあることと、0パーセントでは雲泥の差ですから。

  2. sumirenge says:

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    病死です。止められないのが辛いです。