James Ingram (Part 2) : He's An Aquarius & B-Positive & Character & Dude & Excellent…

【プロフェッショナル・シンガー】

準備。

フィリップ・ベイリーを始め、アースのバンドメンバーが7-8人、そして、ジェームス・イングラム・バンドの面々が集まって、いろいろ立ち話を始めた。その中に、二人のバックコーラスがいた。ロレインは、みんなにローリーと呼ばれている。そして、デルタ。ローリーは97-8年からジェームス・イングラムのショウに参加しているという。デルタは93年からだという。「ということは、『ハウ・ドゥ・ユー・キープ・ザ・ミュージック・プレイン』はもう数え切れないほど歌ってきたわけですね」 「そうね、13年くらいかしら。もう勘定できないほどね」 「すばらしいコンビネーションでした」 「ありがとう」 「あなた自身のアルバムは?」 「今、作ってるところ」

『ベスト・デュエット』と感じたこのパフォーマンスは、まさに、ジェームスのソウルとデルタのソウルが徐々に近づき、ひとつのソウルに融合し、白く光を放っていたような気さえした。おそらく曲の理解度、歌唱力、演技力、コンビネーションそうしたものが、すべてうまくいき奇蹟のデュエットを生み出したのだろう。

「ベイビー・カム・トゥ・ミー」を一緒にデュエットしたローリーは、フィル・ペリーなどと一緒にツアーを周ったりしているという。日本には、何年か前のジョージ・デュークと一緒に来たこともある。ローリーは、すでに自身のアルバム『ロート・ディス・ソング』(ゴー・ジャズ・レーベル)を出していた。

一段落して、ジェームス・イングラムと会えることになった。「以前、インタヴューして、その時だったか、何人かと一緒に高円寺のソウルフード・レストランに行ったんです」 「今、思い出そうとしてるんだ。たしか、あれか、ボビー・アディソンのことかな。彼とは70年代に一緒にバンドをやっていたんだ」「そうだ、確かそんな名前だったような。彼は日本に住んでる人でしょう?」 「そう、ほんの今しがた彼から電話が入って、メッセージが残っていたんだよ」 

「あなたの声の大ファンなんですが、それ以上に親しみを感じることがあって。誕生日が同じなんです。2月16日で」 「なんだって? 本当かい? デビー(ジェームスの奥さんに向かって)、ちょっと聞いてくれ」 「なんですか?」 「(ぼくに向かって)デビーに君の誕生日を言ってくれ」 「2月16日です」 「オ~・マイ・ゴッド! 」 ジェームスが言う。「ちょっと聞いてくれ。僕たちの結婚記念日がいつだかわかるかい? 2月16日なんだよ」 「そうなの、32年よ。結婚して」 「ほかに、オールドスクールのマーヴィン・シーズっていうR&Bシンガーが2月16日なんですよ。でも、あまりヒットがない」 「う~~ん、知らないなあ。ヒット曲は何?」 「僕も覚えてない・・・(笑) 確かマーキュリーからレコードをだしていた」 「そうだ、レオン・ウエアが2月16日生まれだよ! あのマーヴィンゲイの『アイ・ウォント・ユー』の」 「あ、そうでしたね! 彼はあんまりライヴ・パフォーマンスをしませんねえ」 「そうだね、あんまりやらないねえ」

「ジェームスさん、あなたは自分の血液型を知ってますか?」 「Bポジティヴだよ」 「えええっ、あなたもB型? 僕も、B型。どちらも、水瓶座のB型だ・・・」 デビーが再び「オー・マイ・ゴッド!」。「俺たちは兄弟かい?(笑) もしかして親が同じで・・・(笑)」 

ジェームス・イングラムの次のアルバムは「インスピレーショナルなアルバム」になるということだ。「ゴスペルのアルバムですか」と聞くと、「ゴスペルのフレイヴァーはあるけど、ゴスペルというよりか、インスピレーショナルなアルバムだなあ」 デビーが付け加えた。「その後は、ビッグバンドのアルバムを作るのよ」 そして、さらに「ジェフリー・オズボーン、ピーボ・ブライソンと僕の3人でアルバムを作って、ツアーに出るんだよ」 「わお、それはすごい! 」 LSGというリヴァート、スゥエット、ギルという3人の強力トリオがあったが、21世紀の強力トリオの誕生だ。頭文字を取ると、OBIかIBOかBIOか。お、BIOが語呂がいい! 

「どんな曲を歌うんですか」 「スタンダードになるような曲だ、あ、スタンダードということではなく、オリジナルだよ。何かいい曲持ってるかい?」 「いや、僕は曲は書かないんで、でも、隠れたグレイトソングスはたくさん知ってます。つまり、とてもいい曲だけど、正しい歌手によって歌われてなくてヒットにはなってないような曲という意味です」 「よくわかるよ」 

今回、ジェームス・イングラムは日曜から始まり、水曜が休み、そして木から土まで。水曜に、この日遊びに来たアースのライヴがある。「あなたは、オフの水曜に、アースのライヴには行くのですか」 「いやあ、多分行かないと思う。すごく行きたいんだけど、6日間の12回のショウの途中だからね。喉を休めないと。ライヴに行ったら、叫んだり、歌ったりしちゃうだろう。(笑) 今日はアースのメンバーたちがやってきて、こうして話をしているけど、ふだんは1日僕はしゃべらないんだ。喉を休めるためにね」

これを聞いて僕は彼がシンガーとしてプロ中のプロだと言うエピソードを思い出した。確か、クインシーが言っていたことだと思うが、朝10時からのレコーディングでもジェームスは6時に起きて、ジョギングして、体調を完璧にしてから、レコーディングに臨むような人物だということだ。スポーツ選手が試合前に充分にアップ(準備運動)をするように、シンガー、ジェームス・イングラムは本番前に充分な準備をする男だ。
 
まさにシンガーの鏡・・・。

■ブルーノートウェッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20060115.html

(1月21日土曜まで毎日、7時と9時半スタート。1月18日水曜だけ休み)

(2006年1月16日月曜、東京ブルーノート・セカンド=ジェームス・イングラム・ライヴ)

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