Eric Benet's New Album "Hurricane" Portrays His Soul Searchin' Story

【エリック・ベネイ6年ぶりの新作は彼の最高作か】

足跡。

ハリケーンエリック・ベネイの6年ぶりの新作が到着した。タイトルは『ハリケーン』(6月22日日本発売)。同曲が最初のシングルとして既にリリースされているが、これがなかなかいい曲で、覚えやすい。今作は、全体的に、実にポップなわかり易い作品になったなという印象。それも、歌のうまさを存分に出して、しかも、プロデューサーにデイヴィッド・フォスターや、ウォルター・アファナシエフまで起用して、「売り」に出た。

歌詞の内容では、元妻ハリー・ベイリーとの別離が最大のテーマ。別れて自分は立ち直ったという雰囲気の「ハリケーン」から、まだまだ未練があるぞという「マイ・プレイヤー」、あるいは失恋自体を歌った「ホエア・ダズ・ザ・ラヴ・ゴー」、「マン・イナフ・トゥ・クライ」、「アイ・ノウ」などほとんどの作品に恋に破れた男の弱々しさがこれでもかというほど表現されている。

この未練ぶりは、しばらく前のブライアン・マクナイト、あるいは、かつてのルーサー・ヴァンドロスの作品群などに匹敵する。「ザ・ラスト・タイム」では、新しい恋の始まりを歌うが、これは新しい恋人が出来たことを示すのか。

それにしても、エリックってこんなに歌がうまかったっけと思わせるほど、今作では歌のうまさが際立つ。普通のソウル、R&Bアルバムというより、ポピュラーなヴォーカル・アルバム的なニュアンスのほうが強い。

アルバムには14曲の歌が収録されているが、その歌詞(日本盤は訳詞があります)をじっくり読んでいくと、彼の元妻への熱い思いがつたって来る。

ちなみに「インディア」というミディアム調の心温まる曲は、娘さんのことを歌った作品で、途中にクリス・ボッティーのトランペットがはいる。あるいは、デイヴィッド・フォスター・プロデュースの1曲「ザ・ラスト・タイム」なんて、こんなに大甘のサウンドでいいのってほど甘々。

時々、ベイビーフェイスやスティーヴィー・ワンダーを思わせたりするところもある。これがエリック・ベネイにとって最大のヒットになったとすれば、ベネイは大失恋を最大の武器にして、傑作を作ったということになる。おそらく失恋で、相当なソウル・サーチンしたんだろう。このアルバムには彼の苦しみのソウル・サーチンの足跡が記されている。

ところで、インナーのエリックの写真が平井堅みたいだ。あれ、平井堅がエリック・ベネイみたいだったんだっけ。(笑) 

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