39th & Lennox Is Fictitious Place: Lennox Is Now Malcom X Blvd.

架空。

先日「ユー・ドント・ノウ・マイ・ネーム」のことを書いたら、マイ・ブラザー、ドクターKからおもしろいメールをいただいた。彼もアリシアが大好きで、先日のライヴも見て、その会場で僕も彼に会ったのだが、「ユー・ドント・・・」の歌詞の中のアリシアのセリフについての話である。

アリシアは、「私は39丁目とレノックスの角のコーヒーハウスのウエイトレス」と名乗る。ところが、39ストリートとレノックス・アヴェニューは、マンハッタンの地図を見るとわかるが、交わらない。つまり、間違っているか架空の場所ということになる。

ドクターKは、「これは39丁目ではなく、139丁目のはずだ。僕は何度も何度も(CDを)聴き直した。アリシアはワンサーティーナインと歌っているように聴こえる。レノックス自体がハーレムにあり、ミッドタウン(39丁目)あたりにはない。また、レノックス・ブルヴァードは、現在、マルコムXブルヴァードと呼ばれている。アリシアのアルバムの中ジャケットの写真は、ハーレムで撮影されている。彼女は、実にアップタウン・ガールだ」というメールをくれた。

かなりマニアックなメールである。彼はずっと長い間ニューヨークに住んでいて、ニューヨークのR&B事情やダンス業界事情にも詳しい。さすがにするどい。僕も「39丁目とレノックス」というのはおぼろげに怪しいとは思っていたのだが、特に地図を見ることもなく歌詞を訳していた。そこで改めて地図をチェックし、アリシアのレコードを何度も聴いた。

う~~ん、彼女はここは「オン・サーティーナイン・・・」って言ってるんじゃないかな。ワンではなく、オン・・・という風に聴こえる。139とレノックスだと実在するので、そこに人が殺到しても困るので、架空の39にしたのではないか。しかも、ビジネススーツに身を包んだマイケルは、いかにもミッドタウンで働いていそうなエグゼクティヴのイメージだ。彼が働いている場所としては139よりも39の方がストーリー的にイメージが近い。

ということで、ここは歌詞的には39丁目とレノックスということで一件落着としよう。だが、これで終わらないのがこの日記だ。レノックス・アヴェニューが今、マルコムX(マルコム・エックス)ブルヴァードと呼ばれているという話に進むところががソウル・サーチン・ダイアリーのお勉強になる部分である。(笑) せっかくマニアックなメールをもらったのだから、少し「マニアック返し」しておかないと。そこでこのマルコムXブルヴァードについて調べてみた。詳しいウェッブが下記にあった。

http://www.ci.nyc.ny.us/html/dcp/html/mxb/

ほ~~そうですかという感じ。レノックス・アヴェニューは、一般的にはシックスス・アヴェニュー(6番街、6番通り)の続きである。ただしこのシックススは、途中セントラル・パークで中断させられる。ミッドタウンでは、誰もシックススとは呼ばない。「アヴェニュー・オブ・アメリカ(アメリカ通り)」と呼ぶ。それが110丁目より以北147丁目までの通りを1887年以来レノックス・アヴェニューと呼んでいた。この地域はハーレムと呼ばれる場所である。これは、その昔の大金持ちでジェームス・レノックスという人物が自分の膨大な蔵書をニューヨーク公立図書館に寄付したことによって、この通りをレノックス・アヴェニューとしたそうだ。

それが1980年代後期に、この区間をレノックスからマルコムXブルヴァード(マルコムX大通り)と名前を変えた。もちろんマルコムXは黒人解放運動などに尽力した活動家である。ハーレムにちなんで、マルコムXになったのはごく自然の成り行きだった。僕は139丁目と旧レノックス、現マルコムXブルヴァードに行ったことはないのだが、何があるのだろう。その角にはコーヒーハウスはあるのだろうか。今度ニューヨークに行く機会があったら、確認してみよう。

そういえば、アイザック・ヘイズの作品「カフェ・レジオ」が大のお気に入りとなり、ニューヨークに行ったときにわざわざヴィレッジの「カフェ・レジオ」まで行き、そこでシャフト本人が座った席でシャフトよろしくレモンピール付きのエスプレッソを頼んだのは、もう一人のソウルブラザー、Uである。

ENT>MUSIC>SONG>Keys, Alicia/You Don’t Know My Name

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