NO.202
2003/03/28 (Fri)
Living Legends: Toots Thielmans
号泣。

先日の「サンダーストーム」番組内のコーナーテーマで「これを聴いて泣いた曲」というのを、それぞれが持ち寄ったわけです。グループ、ソウル・ボサ・トリオの主宰者であり、スタジオのオウナー社長ゴンザレス鈴木さん。彼の場合は、自分の作品のレコーディングで、トゥーツ・シールマンスにハーモニカを吹いてもらったときの話でした。

彼は、その曲にトゥーツのハーモニカをいれるために、ベルギーに約1週間ほど滞在しました。スタジオは本当に小さなスタジオでした。ドラムスは、マイケル・ホワイト、ベースがエイブ・ラボリエル、彼らはすでにロスで録音をすませていました。そして、ハーモニカにトゥーツ・シールマンス、プロデュースがゴンザレスさん、ということで、ロス、ベルギー、東京とまさにマルチナショナルなプロジェクトなわけです。

楽譜を事前に用意して、ゴンザレスさんが、その曲の雰囲気とか、感じを説明しようとしたところ、トゥーツは楽譜を見るなり、一言「アイ・ノウ(わかってるよ)」と言ったそうです。そして、テープが回され、そのマスターテープに、トゥーツのハーモニカの音が録音されました。ワンテイクで、当然OKです。ゴンザレスさんは、「もう、そりゃ、ベルギーの人間国宝みたいな人に、もう一度お願いします、なんて言えないですよ(笑)」と振りかえります。

そして、そのマスターを持って東京に戻り、ミックスダウンのために、それをスタジオでかけたとき、ゴンザレスさんは号泣したそうです。

わかるなあ。自分のプロジェクト、作品に、あのトゥーツのハーモニカをいれることができるなんて、夢のようなことですもんねえ。トゥーツは言いました。「このスタジオにクインシーも来たんだよ」 ゴンザレスさんは、そのスタジオで、クインシーやトゥーツあるいは、もっと多くの伝説の空気に触れたわけです。うらやましい限りです。トゥーツ、まさに生きる伝説ですね。
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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