ナッシング・バット・ザ・ファンク・ライヴ『リアル・ミュージッ
クの逆襲』
ナッシング・バット・ザ・ファンク・ライヴ『リアル・ミュージッ
クの逆襲』
【2003年2月10日月曜・セカンド・ステージ・東京ブルーノ
ート】
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ソウルフード。
サックスのエディーMが尋ねる。「なんで、君はソウルフードが
好きなのか、南部出身だから説明できるだろう」 ギターのジュー
ブー・スミスがしばし考えながら答える。「うーん、ソウルフード
は、オレを幸せにしてくれるからさ。エンドウマメの料理(=ピー
ズ=ソウルフードの一種で、マメを煮込んだ料理のこと)を取って
くれ(パス・ザ・ピーズ)」
こうして、スティーヴ・バクスターのトロンボーンと、エディー
Mのサックスがさく裂し、JBズ(ジェームス・ブラウンのバック
バンド)のヒット曲「パス・ザ・ピーズ」が始まった。途中に「ギ
ヴ・アップ・ザ・ファンク」(パーラメントのヒット曲)のワンフ
レーズをいれたそれはそれはファンキーな一曲だ。
確実で重厚なドラムスを聴かせる沼澤尚(ぬまざわ・たかし)、
キーボードの森俊之、そしてベースのレイモンド・マッキンリーを
含め名うてのミュージシャン6人から成るこのユニットは、その名
も「ナッシング・バット・ザ・ファンク(何はなくともファンク)
」と言う。 東京ブルーノートには二度目の登場というが、僕は今
回初めて見てそのバンドのタイトさに驚かされた。普段はめったに
一緒にやらない彼らが、ファンクをめがけて一体になる。
トロンボーンのスティーヴとサックスのエディーは、まさにJB
ズの中のフレッド・ウェスリーとメイシオの若返りのよう。そして
JBズだけでなく、クルセイダーズ的な要素もあった。JBズとク
ルセイダーズを足して二で割り、70年代ファンクの胡椒をさらに
まぶすとこんな感じになる。ソウルフードに塩胡椒は欠かせない。
ショウの後半クルセイダーズの「プット・イット・ホエア・ユー
・ウォント・イット」を各人のソロ・パートを含めて演奏したが、
これもじつにかっこいい。この曲の後半部分は、マーヴィン・ゲイ
の「イナーシティー・ブルーズ」になだれこんだ。途中のキーボー
ドの森のソロもいやあ、ソウルがこもっていた。よかった。アンコ
ールは、ふたたびメシオたち=ジェームス・ブラウンの作品「ソウ
ル・パワー」。ギターリフにオハイオ・プレイヤーズの「フーチー
・クー」が挿入されたのにはもうお手上げだ。まさにごったにのソ
ウルフードをたっぷり食させてもらった。
期待以上のこんなファンクなバンドを見て、話をきかないわけに
はいかない。楽屋に出向いた。さすがに沼澤、森と日本人ミュージ
シャンがいるだけに、いつもよりごった返している。最初に目があ
ったのが、ベースのレイモンド・マッキンリー。自己紹介をして話
が始まる。
「すごいファンキーなバンドね。すばらしいショウでした。この
バンドはいつごろからあるの?」
「3〜4年前だったかな、佐藤竹善のバンドでみんなが一緒にな
ってね。ツアーを続ける内に、なにか自分たちでやろうかっていう
話に自然になったんだ。一番最初にこのメンバーでやったのは、神
戸のチキンジョージ(ライヴハウス)だった。もちろん、その時は
バンド名なんかなかったし、リハもほとんどしなかった。なんとな
く集まってただ『ジャム・セッション』をするって感じだった。
で、それ以後、一年に一回くらいスケジュールがあうと集まってや
るようになった。それで、2年位前かな、ブルーノートから連絡が
あってね。たぶん、誰かアーティストが急にキャンセルになってあ
いたんだろう。その週にやらないか、というオファーがあって、や
ったんだ。(註、これが2001年6月) そして、今回。あと1
−2回(別の場所で)やったかな」
沼澤はステージの中盤でいろいろな話をした。 「年に1回とか
2年に1回とか集まってやってるんですが。今、メンバーがそれぞ
れの曲を持ちよって、アルバムを作ろうということになってるんで
す」
レイモンドと話していると、汗を拭きながらエディーMがやって
きた。「アルバムは、これから録音するんだ」
「レコード会社は、どこ?」
「まだ、わからない。まず、日本だよ。アメリカはスローすぎる
から(笑) オリジナルやカヴァーを録音する。今年中には出した
いな」
レイモンドは、元々サンフランシスコのベイエリア、オークラン
ド出身。現在はロス在住。オークランドということでトニ・トニ・
トニなどとも親交がある。エディーもシーラE、13キャッツなど
を経験。トロンボーンのスティーヴ・バクスターは、クルセイダー
ズとも共演。ベースのレイモンドは、ボーイズ・トゥ・メン、テヴ
ィン・キャンベルなどのバックもやったという。
メンバーがCDを買ってくれた人たちにサインをしに会場に上が
らなければならなくなった。出口で沼澤と遭遇した。10年くらい
前にインタヴューしたことがある。覚えていてくれて、どうもどう
も、としばし歩きながら話をする。現在は、東京ベースになってい
る、という。
ベースのレイモンドが話の途中で奇しくも言った。「最近のアメ
リカのレコード会社は、僕たちのようなリアル・ミュージックを理
解しないからねえ」
プリンスのライヴを見て、よみがえった「リアル・ミュージック
」というキーワードがまたここで浮上した。
(2003年2月10日、東京ブルーノート・セカンド・ステージ
)
関連リンク・ブルーノート。
http://www.bluenote.co.jp/art/20030210.html
〔2003年2月17日アップ〕
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